A boiled egg

ぼちぼちいこか

NOPE/ノープ 感想

 「ゲット・アウト」や「アス」の監督ジョーダン・ピールの監督作品「NOPE/ノープ」を観てきた。公開日2022年8月26日(金)(日本)。ネタバレ注意

 

 

 

あらすじ(公式サイトより)

舞台は南カリフォルニア、ロサンゼルス近郊にある牧場。亡き父から、この牧場を受け継いだOJは、半年前の父の事故死をいまだに信じられずにいた。形式上は、飛行機の部品の落下による衝突死とされている。しかし、そんな“最悪の奇跡”が起こり得るのだろうか? 何より、OJはこの事故の際に一瞬目にした飛行物体を忘れられずにいた。牧場の共同経営者である妹エメラルドはこの飛行物体を撮影して、“バズり動画”を世に放つことを思いつく。やがて起こる怪奇現象の連続。それらは真の“最悪の奇跡”の到来の序章に過ぎなかった……。

ABOUT THE MOVIE|映画『NOPE/ノープ』公式サイト (nope-movie.jp)

 

前半はホラー映画、後半はSF映画

 前半は、「正体不明のモンスターが身近に潜んでいる」というホラーを主体として物語が進行している。よく分からないけど突然竜巻が起こるだとか、空から弾丸のように物が落ちてくるだとか、急に一瞬だけ電気が落ちるだとか。何か異常なことが確かに目の前で起こっているのだけど、その原因は分からないというのはやはり恐怖を助長させてくれる。

 後半に行くに従って、モンスターの正体も大体分かってきて、そのモンスターをどうやって追い払うか/倒すかに展開がシフトしていってる。前半から後半への内容の変化の仕方が、まんま「宇宙戦争」や「ゴジラ」みたいなパニック系エイリアン・モンスター映画の構成だね。

 エイリアン、つまりはここで言うところのGジャンの性質として「自身の周囲の電気を完全に止める」というのがあったけど、それが前半のホラーと後半の緊迫のアクションシーンの両方それぞれ上手く機能していて、尚且つGジャンのその性質の印象が変化していったのが、エンタメとして面白かった。前半は「未知で恐怖の現象」、後半は「敵がすぐそこにいることを知らせる、緊張感のあるアラート」と言えばいいだろうか。電気的な移動と連絡が完全に遮断されて孤立し無音になるために、恐怖や緊張が加速されるのは、Gジャンの設定と演出を考えたスタッフの賜物だろう。

 

エイリアンの正体・弱点を見破る人物が「調教師」であるという特徴

 この手のエイリアンものって科学者が正体や弱点を見つけて倒すための作戦を立てることが多いけど、この映画では科学者の代わりに馬の調教師がその役割を担っているのが面白かった、というのは一緒に観た友人の感想である。私は今まで「どんな肩書きを持った人物がエイリアン打倒の糸口になるか」というのをあまり考えて見たことがなかったので、興味深い視点だなと思った。

 「科学」は誰にとっても論理的に納得できるように事象を説明する/しようと目指す学問体系だと私は考えているので、エイリアンの正体や弱点を説明する立場である「科学者」はその説明に説得力を持たせる上で都合のいい役割である。

 しかし、この映画では「調教師」がその役割を担っている。調教師は生き物についてよく理解している。そしてエイリアンも、姿形こそおぞましいが、ある意味で生き物であることに変わりはない。従って、調教師がエイリアンの正体や弱点を発見する展開にも確かな説得力が生まれるわけである。

 物語の中で、未知を解明する人物が必ずしも科学者である必要はなく、ある分野に特化した科学者でない人がその分野から解明するという展開でも、全然ありなのである。科学以外の特殊な分野に特化してる分、むしろそっちの展開の方が説得力増す気がする。でも身も蓋もない話、自然を扱うどの分野も科学の上に成り立ってるから、全部科学者なわけで結局魅せ方の問題なんだけど。

 兎にも角にも、他のB級パニック映画だと「なんか頭いい科学者が解決した」みたいなところを、科学者でない人物が解決したという展開が新鮮で面白かった。

 余談だけど、Gジャンの造形ってやっぱエヴァが参考にされてたのね。最初の形態はサハクィエルっぽいし最終形態は新劇場版の方のバルディエルみたいな感じだった。あと「AKIRA」のオマージュもあったな。

 

「ゴーディの誕生日」事件の意味

 これについては正直最後まで意味が分からなかったのだが、一緒に観た友人曰く「凶暴な動物と目を合わせてはいけない」ということらしい。ジュープはテーブルの薄い布に守られて、実質目を合わせていなかったから助かったと考えれば、確かにその解釈は合ってるかもしれない。ただ、その場合ゴーディはジュープの目を見ていないにもかかわらず、グータッチをしようとした点が謎にはなってしまう。

 他にもネットで色々このシーンの考察を見てみたら、「目を合わせなかったから」という根拠を「ジュープは直立した靴に気を取られていたから」としているものもあったし、単に「野生生物を舐めてると痛い目にあうぞ」とか、「この映画は『見世物』をテーマにしていて、ゴーディの誕生日・世界初の映画・妹が撮ろうとしたUFO映像・ジュープのパークのショー、これらは全部見世物だよね」と全体のテーマとメッセージについて考察している人もいた。あとは「見世物を『見る人』と『見られる人』の差異と差別」もあると思うし、そこにほんのわずかに黒人差別も含まれているように感じる。

 

 このシーンの考察については、一つ私が面白いなと思った他所のブログがあったので貼っておく。途中で出てくる聖書の引用の考察についてもされている。

【ネタバレ厳禁】映画『NOPE』を考察する【視線にまつわる物語】|ヴィクトリー下村|note

 

Gジャンと対峙するシーンの迫力と緊迫感

 もうこれは実際に映画を観れば分かるだろって感じだが、とにかく緊張と緩和のバランスが素晴らしい塩梅になっていた。電気機器が動かなくなって静かになる緊張から、目の前にGジャンが現れる緩和、鳥肌立ちまくりだし脳汁ドバドバ出る。OJが馬で駆ける後ろから追ってくるシーンが一番迫力あった。最後Gジャンが、雲に浮かぶデカい風船人形食らうシーンも幻想的で良かった。マジでIMAXで観たかった。

 あと、ホルストが「不可能を撮る」って言って、カメラ持ってGジャンに食われに行ったの滅茶苦茶かっこよかったなあ。あれでフィルムダメになってたら無駄死にだから泣くw

 終盤のアクションの爽快感とすごくスッキリ・スカッとする終わり方で、前半ホラーやってたのを完全に忘れるほどであった。この監督の映画は他に「ゲット・アウト」を観たことがあるのだが、それは終始サイコホラーやスリラーという感じで、それと比べるとかなり明るくなったなあと思った。

 

私に天使が舞い降りた!プレシャス・フレンズ 感想

 わたてんの映画を観てきた。公開日2022年10月14日(金)。

 

 このアニメもとい漫画って、幼女可愛い~って思考ばっかするから忘れがちになるけど、百合姫なんよね。幼女全員が年の離れた主人公に好意を向けるハーレム的な奴(ロウきゅーぶとか)とは違って、わたてんには幼女同士のカップリングもあるから、その度に百合姫だったことを思い出す。

 私はカップリングに関してどれがお気に入りとかは特にないが、キャラ単体ではアニメ一話の時から圧倒的に花ちゃんが好き。やはり黒髪(青髪?)ロング幼女なんだよね。ハイエースしたい。

 色使いもすごい好きだね。パステル調で明るくてポップでふわふわした感じって言えばいいのかな?語彙力なくてすまん。

 ちなみに漫画は二巻まで読んでる。アマプラのPrimeReadingで二巻まで無料で読めたので。

 

 

 

映画の導入

 で、今回は花ちゃんのおばあちゃんの家に行くという話であった。おばあちゃん若過ぎね?って論争が生まれているかもしれないが、小学生のおばあちゃんだったらあれぐらいの顔でもあんま問題ないと思う。おばあちゃんと母が25歳ぐらいで子供産んでたら、孫が小学生の時はおばあちゃんは大体60歳ぐらい。60って髪の毛も顔も40、50ぐらいに見える人ってちらほらいるので、そういう類のおばあちゃんってことで。おばあちゃんのギャグ寒すぎたしそれをわざわざ別の人が解説しちゃってるのはもっと興醒めだった。全部おばあちゃんの友達が悪い。

 

子持ちの人の百合ってなんなん?的なこと

 百合姫からしょうがないかもしれないが、男が全く出てこないのはもうこの際いいとして、おばあちゃんや母親の領域まで百合の概念持ち込むのってどうなの?って、この作品に限らずよく思う。解釈次第なのはもちろんだが、親友じゃなく百合解釈の方をしやすいような仲だったのは間違いない。末端の娘が百合してるのは問題ないというかむしろそれが無いと作品が終わってしまうのでいいぞもっとやれなのだが、おばあちゃんと母親はあくまで男と付き合って結婚しておせっせしてる人間になるわけなので、そいつらが百合をするのは夫が可哀想だなと思う。貴方の奥さん百合堕ち不倫しようとしてますよ。モブで男はちらほらいるので、実は女性のみで妊娠できる世界が舞台のSFアニメだったとか、男は繁殖用の道具としてしか見らてなくてどっかの施設で管理されてるディストピアだったとかではないはず……前者は一応可能性捨てきれないけど()

 

みやこと花ちゃんの関係がエモいねって話

 幼い頃から仲良しのおばあちゃんとその友達の回想とか過去と現在の行動の重ね合わせで、みやこと花ちゃんの交友関係もずっと続いていくことの示唆は純粋にエモかった。何十年も親密でいた人同士って、お互いに人生を構成してきたものの中でかなりの部分を占めていて切っても切れないものであるから、そういうものにお互いなれるといいね。もちろん親密だった時間だけでなく、想いってのも大事すぎるけど。

 あと、みやこは花ちゃんのプレゼントのヘアピン使ってやれ。使わないと意味ないってのももちろんだが、失くしたら一生後悔するって理由で使わないままでいると、なんでもっと使わなかったのかとか使ってるところ花ちゃんに見せなかったのかの方でより後悔すると思うぞ。なんかこの書き方だと花ちゃんが死んだみたいになってるな。とにかく、「プレゼントを大事にする」の意味をはき違えないことやね、プレゼントが実用的なものなら尚更。

 

おばあちゃん家の謎間取り

 おばあちゃんの家の玄関入ってすぐにアイランド型のキッチンとダイニングあるの謎すぎん???しかも、配置が限られまくってるマンションじゃなくて一軒家だから、余計間取り謎過ぎる。それから、おばあちゃんは「古い家だから~」とか言ってたけど、古い家にアイランド型キッチンとかあるわけないだろ。元旅館だったとしてもだ。リフォームした系だったらまあ話は変わってくるけど。

 おばあちゃん家来るたびに、家の柱に身長の目印つけるのすごく分かる。私もガキの頃、父方の祖父母宅来るたびにやってた。姉弟と従兄姉ぐるみでやってた。その家リフォームしたからもうその柱ないけど。みやこの「こういうのって本人だけじゃなくて、その時一緒にいた人にとっても思い出になるから」は本当にそうだと思う。あの時あいつこんなに小さかったんだとか、この頃の自分こんなに小さかったなら確かに部屋を今より広く感じてたのも納得だーだとか。今では柱のことを思い出そうとして、リフォーム前の祖父母宅の思い出が呼び起こされるようになっちゃったんだけどね。

 

今回の話の聖地

 聖地は埼玉の長瀞町みたいね。長瀞町観光協会のホームページのトップページにデカデカとコラボレーション企画のお知らせが載っててビビった。電車で行ける場所で聖地巡礼のハードル低いから、オタクがワラワラと集まってそう。関東圏からだったら一泊二日ぐらいでちょうどいい感じに聖地巡礼できそう。私は聖地巡礼ってよりかは純粋に長瀞ライン下りやってみたい。鉄道むすめならぬ「鉄道ひげろー」が作中に出てきて笑った。

長瀞町観光協会のコラボ企画ページ

わたてん!プレフレ×長瀞町観光協会 コラボレーション企画 | 長瀞町観光協会公式サイト (nagatoro.gr.jp)

 

恐怖の松本

 松本があらゆる場所にさも当然のようにいるの怖すぎたし、誰もその存在に気づけてないのも怖すぎた。まあそれが彼女の平常運転ではあるんだけど。松本がストーカー行為を咎める人が誰一人いなかったので、みやこ達の明るい雰囲気と同時並行で淡々と行われるストーキングに、アニメ以上に本気のホラーを感じた。「旅行楽しかったね」って言いながらみやこの写真を撫でる松本のシーンで映画終わるとか、恐ろしすぎでしょ。今からでも作品のジャンルをサイコホラーにでも変えた方がいいんじゃないか?

 

雑にまとめ

 みんな可愛かった。特に花ちゃんが相変わらず可愛すぎた。花ちゃんのロングヘアーhshsしたい。みやこ、取り敢えずそこ代われ。子持ち人間の百合はよく分からん。状況次第では理解できるかも。長瀞町観光したい。松本はやっぱり怖すぎる。現実にいたら普通に許容できないレベルのキモさ。花ちゃんhshsしたいとか言ってる私が言えた立場じゃないな。おわり。閉廷。

 

「Perfume 9th Tour 2022 "PLASMA"」に行ってきた話

 10月8日(土)、宮城のセキスイハイムスーパーアリーナで行われたPerfumeのライブに行ってきた。

 

 

 Perfumeを好きになったのは確か小6ぐらいの頃で、姉がMステを「ポリリズム」目当てで録画してそれを横で見てたのがきっかけだったと記憶している。ちょうどその頃親にウォークマンを買ってもらって何の曲を入れようかと考えていたのもあって、Perfumeをの存在をはっきりと認知したのをこれ幸いと当時リリースされていたアルバムを片っ端から入れていた。

 Perfumeが好きと言うが、実のところオタクと胸を張って呼べるほどのめり込んでいるわけではない。基本的にCDは買わずにレンタルやサブスクで曲をたまに聴くぐらいのもので、MVもごくまれにYouTubeで見るだけだし全部見ているわけではない。ファンクラブ会員でもないので、たかが知れる程度である。ただ、純粋に楽曲がめちゃくちゃ好きなので、そこにおいてPerfumeのファンと言うわけである。もちろんアイドル的な観点からも普通に好きだよ。正直3人とも好きだが、敢えて言うならあーちゃんが一番好きかな。

あーちゃんのサイン

のっちのサイン

かしゆかのサイン

よく知らないが、確かファッション関係のプロジェクト

 たかが知れるレベルのオタク度もあって、Perfumeのライブに来るのはこれが初めてだった。大学入ったら行きたい行きたいとずっと思っていたのだが、タイミングが合わなかったり申し込み忘れてたりして今の今まで行けてなかった。

 宮城公演は10月7日(金)と8日(土)の2日間で私は土曜の方に参戦した形だが、金曜の方は声出しOKだったらしい。というのも、定員の50%以下だと声出しOKでイベントをやってもいいという宮城県の取り決めがあるらしく、金曜は予約分で32%の集客しかなかったため当日分を50%を上限で売ることを条件に声出しOKということにしたらしい。普通は集客率の低さにショックを受けるところだが、そこから機転を利かせたのはスタッフ有能だと言うしかない。私も金曜に行けばよかった。土曜はほぼ満杯だったので声出しNGだった。休日だし満杯になるのはそれはそう。

 グッズは、長袖のライブシャツがあったのでそれを買った。ライブシャツって言うと基本的に半袖ばかりだから、長袖は助かりすぎる。普段使いできそうなデザインなのも評価高い。

 

 で、肝心のライブ本編だが、もうとにかく凄かった(小並感)。何と言っても演出が凄まじ過ぎた。Perfumeテクノポップを音楽としてもパフォーマンスとしてもコンセプトにしているので、とにかくライブ映えが凄い。キレのあるダンスに、レーザー光線やプロジェクターをこれでもかと合わせた演出に失禁するかと思った。少なくとも、初参戦するアーティストのライブで経験していいものではない(褒め言葉)。チケ代が2倍だったとしても満足できるぐらいには良すぎた。ちなみに、演出の都合上ペンライト等の光り物の使用は禁止になってる。周囲に余計な光が無い分、ステージの演出に集中できるので素晴らしいレギュレーションだと思う。全部のライブでペンラ禁止にしてくれ。

 腕を上げるとかのレスポンスに関しては、私は全く何も予習しなかったので、ずーっと体を揺らしてるだけだった(たまに手拍子打ったりはしたけど)。まあそれでも十分すぎるほど満足したからいいんだけど。でも一応次のライブまでに最低限のレスポンスは覚えとこうかな。

 あと、個人的な鳥肌ポイントとして登場シーンがあった。これはひとえに生のPerfumeを初めて見たからということに尽きる。天井からゆっくり降りてくる籠の中に3人がいるという演出だったので、余計に感動が強まった。音楽プレーヤー、あるいはMVの向こうにしかいなかった存在が近くにいる興奮という、完全なる限界オタクの思考に陥っていた。基本曲しか追ってなかったとは言え、10数年もファンでいたのだから心中お察ししてくれ。

 このライブツアーはニューアルバム「PLASMA」のリリース記念なので、主にニューアルバムの曲が流れていた。ニューアルバムの中で一番好きなのは「Time Warpかな。すごい元気づけられる曲調ですき。過去の曲だと、ナチュラルに恋して」「Party Maker」「ポリリズム」「STAR TRAIN」は流れてたと思う。生で聴いてみたい曲はいっぱいあるが(なんなら全曲生で聴きたい)、一つ挙げるなら「シークレットシークレット」とかは死ぬまでに生で聴きたいな。

 MCパートで、かしゆかが「定義山の三角油揚げ今回初めて食べた~」って言ってたから、早いうちに私も三角油揚げ食べてかしゆかになりたい()。宮城県民だが実はまだ食べたことがない。

 Perfume恒例かどうかは知らないが、アンコール曲はなかった。退場の演出が登場の逆だったので、物語仕立てメインのライブに蛇足は入れないというのが、スタッフの思想としてもしかしたらあるのかもしれない。まあ印象的な退場見せられたら、アンコールとかいう野暮なことしようという気もなくなるが。

 

 というわけで、とても楽しいライブだった。ライブ参戦自体がコロナ禍前で途切れていたので、ライブ飢えといった側面もあるし、ずっと好きだったアーティストのライブにようやく来れたからというのもある。これを機にまたぼちぼちライブ行ってみようかな。金かかるけど。取り敢えず改めてPerfumeのオタク始めるか。

 

沈黙のパレード 感想

 ガリレオシリーズの9年ぶりの新作「沈黙のパレード」を観てきた。公開日2022年9月16日(金)。ガリレオシリーズは、当時一応全部見たはず(特番系は定かではない)だが、中身はマジでほとんど覚えてない。ドラマの聖女の救済編で犯人の奥さんがプランターの植物に毒入りの水与えてたなーとか、容疑者Xの献身のラストシーンで犯人が泣き崩れる迫真の演技あったなーとか、真夏の方程式ペットボトルロケット飛ばしてたなーとかしか覚えてない。まあ常任キャラの設定覚えてなくても、純粋に推理ものとして楽しめるやろ!


映画『沈黙のパレード』公式サイト (galileo-movie3.jp)

 

 

 

 

 

あらすじ(公式サイトより)

天才物理学者・湯川学の元に、警視庁捜査一課の刑事・内海薫が相談に訪れる。
行方不明になっていた女子学生が、数年後に遺体となって発見された。
内海によると容疑者は、湯川の親友でもある先輩刑事・草薙俊平がかつて担当した少女殺害事件で、完全黙秘をつらぬき、無罪となった男・蓮沼寛一。
蓮沼は今回も同様に完全黙秘を遂行し、証拠不十分で釈放され、女子学生の住んでいた町に戻って来た。
町全体を覆う憎悪の空気…。 そして、夏祭りのパレード当日、事件が起こる。蓮沼が殺された。
女子学生を愛していた、家族、仲間、恋人…全員に動機があると同時に、全員にアリバイがあった。そして、全員が沈黙する。
湯川、内海、草薙にまたもふりかかる、超難問...! 果たして、湯川は【沈黙】に隠された【真実】を解き明かせるのか...!?

 

 

 

感想(ネタバレ有)

 

 

行方不明の女子学生の発見、及び容疑者の不起訴

 東京のある町で3年前に突如として行方が分からなくなっていた並木佐織が、静岡県牧之原市で発生した火災で遺体で発見される。佐織の殺人の容疑として浮上したのは、火災の発生した家が実家である蓮沼寛一

 彼は15年前の少女行方不明事件でも関与が疑われていたが、彼の一貫した沈黙により無罪に終わっている。この時点で、蓮沼お前誘拐の常習犯かよと並々ならぬ恐怖を覚えた。

 実際は佐織の誘拐には新倉の妻が一枚噛んでいたわけで、それを利用して彼女から金を定期的に脅し取っていた。その際新倉妻は自分が佐織を殺したと思っていたため脅迫に応じ続けていたのだが、蓮沼が殺害と死体損壊・遺棄を行っていたのは終盤ではっきり明かされる事になる。15年前の少女の件の真相については作中であまり語られていないが、恐らく今回の佐織と同じやり口だったんじゃないかなと想像している。

 物語の序盤の時点ではその真実は明かされていないため、蓮沼が単独で誘拐及び殺害を行ったとみて取り調べが行われるが、ここでも彼は沈黙を貫き通し不起訴で終わり釈放されることになる。その後蓮沼は佐織の実家の食堂に飄々と顔を出すわけだが、誰だってそんなことされたらブチギレるし殺したいと思うのもしょうがないだろう。私だったら殺すまではいかないにしても、100回はぶん殴ってる。あとタバコの吸い殻ポイ捨てすんな。

 

蓮沼の死の捜査、周辺人物の「沈黙」

 年に一度の町のパレードの日、その蓮沼が死んだ。容疑者として挙げられたのは、佐織の遺族や関係者達。蓮沼が彼らから恨みを買っていたのは言うまでもないので、その線に行くのは妥当であろう。

 まず死因については、絞殺や争った形跡がないことから、薬殺あるいは密閉空間(ここでは蓮沼の寝床)に閉じ込めて何らかのガスを吸入させた窒息死と推定され、後に睡眠薬で眠らせた後の後者であることが判明する。その際にヘリウムガスではなく液体窒素であることを確かめるために色々検証を行っていた(特に布団の水分量に注目して)が、ヘリウムと窒素で結果変わるん?無知だから知らんけど。気体の種類そのものってよりか、液体窒素が気化する時に周りの水蒸気が液化することがポイントなんかな、やっぱり知らんけど。この検証シーンでガリレオシリーズのテーマ曲が流れて「うおおおお」ってなったのは流石に私だけではないはず。使いどころが分かってますねえ!

 ここで液体窒素の提供元とパレード当日の液体窒素の現場までの移動経路とそれを行った人物が洗い出される。ここで佐織の関係者が次々に浮上してくるが、彼らは沈黙する。「沈黙のパレード」のタイトルは、「様々な容疑者の沈黙によりパレードのようにカオスに、即ち難解になっていく事件」という意味が込められているのではないかなと思っている。

 この沈黙は、最終的に高垣の自白を皮切りに様々なことが明らかになっていく。高垣の自白の時の草薙の「真実に辿り着けたけど、そうであって欲しくなかった」という顔が印象的である。できるだけ遺族を擁護したいという思いと、刑事としての葛藤の両方が現れているように思う。また、この取り調べの際の戸島の突然の激昂も印象的である。のほほんとした陽気で抑えていた怒りが爆発するというのは、否が応でも痛烈な思いを抱いてしまう。

 この時、佐織の遺族周辺だけでなく増村も殺人ほう助の線で出てきたのは少々驚いた。彼は15年前の少女行方不明事件の少女の母親の兄という突然の設定にポカーンとしたものの、まあ寝床を蓮沼に貸してる増村じゃないと確かに睡眠薬飲ませられんやろなあということで納得はできた。その妹は蓮沼の無罪を理由に自殺しているのだから、娘を喪った妹本人と同様に家族を喪った増村も蓮沼を恨んでいたのだ。被害者側にとってはもう15年前だからといって割り切れるわけではない。いや、一生かかっても割り切れるものではないと思う。だからこそ今回の件に関わったのだろう。関わったというよりか、発案者が増村なんだけどね。

 少し話が逸れるが、この物語は「私刑」について問うものでもあるなと思っている。「罰することによって傷つく人がいるとしたら、その傷ついた人は誰が救ってくれるんですか」「死を宣告できるのは司法だけと言うが、それをせずに釈放したのはあなた方ではないか」だいぶあやふやだが、こんな感じのセリフがあった。公的に罰することができないのならば、私的に罰するしかないという思いになり、その結果殺人に至ってしまったわけである。果たして何が正義であるかは決してたどり着けない命題であるが、少なくとも今の日本においては草薙のセリフの「どんな理由があれ、殺人は犯罪だ」が正義なのである。

 

殺害実行犯への追求

 その後、蓮沼殺害の実行犯として新倉が出頭することになる。最初の供述では、元々懲らしめるだけのつもりだったが半分事故のような形で殺してしまった、その時に蓮沼の口から自分が佐織を殺したという自白を受けたと言っていた。

 しかしその供述に違和感を覚えさらなる調査をしたところ、新倉には元から殺意があったのではないかという考えに至る。その糸口となったのが、新倉妻が佐織を殺害した(という妻の思い込み)ということと、それを蓮沼に利用されていたということであった。蓮沼を懲らしめる計画実行前にそれを妻本人の口から聞いたことにより、妻を守らなければと蓮沼を殺害したのである。先に述べたように、妻は佐織を気絶させたに過ぎず、殺したという思い込みを利用しようとした蓮沼が殺害の直接の犯人なのだが。佐織の気絶の直前の新倉妻との諍いの原因が、妻の佐織への嫉妬と夫が叶わなかった夢の佐織への投影にあったのは、なんとも悲痛な思いになる。こういうのフィクションでも現実でもたまによく見るよね。

 計画実行の際、新倉本人が蓮沼を殺せるように、本来の懲らしめ役であった並木祐太朗を意図的にトラブルに巻き込ませていた。そのために人を雇うとか、もう殺す気マンマンやんけ。この計画性の高さは裁判では逃げられないねえ。

 新倉に明確な殺意があったことの自白については、演出上彼は沈黙をしているが、最後に過失から殺人罪に切り替わったと説明されていることから、最終的には白状したのだろう。草薙の「蓮沼が佐織さんを殺したことを必ず立証してみせます」という言葉で、真実を白状すれば妻は救われる(少なくとも傷害罪で済む)のと、白状すれば自分には明確な殺意があったと言うことになるという両者で葛藤があったのは想像にかたくない。

 新倉以外の罪状(予定も含む)が最後明かされていったが、本来ならば懲らしめるで終わらせるつもりでいたし、新倉の殺意を関知してなかったのもあって、行っても殺人ほう助までだろうと説明されていた。刑法の基準全然知らないが、私もそこら辺が妥当なんじゃないかと思う。ただ、殺された少女への想いと蓮沼への憎しみが歪んだ結果、今回の事件が起こってしまったことについては十分是非を問う必要はあるだろう。前項の最後に述べている「私刑の正義性」についてである。

 

 

 

まとめ

 常任キャラの立ち位置とか全然覚えてなかったものの、単話完結の推理ものであるからさして問題ではなかった。そういうのを覚えていて得できることと言えば、節々のセリフで「あ~あの時のことを思い出してるのね~エモい~」ぐらいのものなので、大筋には関係ないのである。

 ストーリーはめちゃくちゃ面白かった。真相の明かし方が非常に分かりやすくかつ気持ちよかった。あくまで私の考えだが「面白い作品」というのは、「設定や内容自体の素晴らしさ」ではなく「新事実の提示が如何に効果的になされるか(提示の順番も)」「それ以前に提示されている設定や内容が如何に効果的に働くか」だと思っている。もちろん前者も蔑ろにしてはいけないが。これは私が伏線回収の気持ちよさを第一の物語の楽しみ方にしているから言えることで、違う目線で物語を楽しんでいる人にとってはまた違うのかもしれない。ただ、「面白い作品」を作るうえで重要なことの一つであるとは思っている。だからといって私が面白い作品を書ける自信も能力も1ミリもないのだが()

 真相にたどり着けたと思ったら「実はまだ明かされていない真実が~」ってなるのも、一回で二度美味しいみたいな感じで面白かった。そういうのが一つぐらいあるのは推理ものあるあるだが、それが何回かあったので一回で何度も美味しかった。ちょっとくどいぐらい繰り返してる感も若干あったけど。佐織が本当はどのタイミングで死んだのか?の真相については、その要素本当に必要か?と思ったが、まあ少しでもヤツが救われて後味を良くするためだったのなら仕方ないことなのかなと思うことにする。

 湯川の「さっぱりわからん」からの「実に面白い」の流れ相変わらず好きだなあ。純粋に未知を楽しんでる感ある。人死んでるからあんま楽しんじゃいけないのかもしれないけど、まあ彼刑事じゃないし大目に見てやれ内海。

 

手巻きタバコを始めてみた

 リアルで私と付き合いがある人は知っていると思うが、私は喫煙者である。吸うようになったきっかけについては割愛させていただくが、大体2年前ぐらいから吸ってる。

 加熱式より断然紙巻き派で、メンソールも好みではない。甘い系はメンソールと比べるとまだいけるが、やはりあまり味がついてない方がいい。基本的にセブンスターばかり吸ってる。他に吸ったことある銘柄は、メビウス、ラーク、キャメル、キャスター、ハイライト、ガラム、アメスピら辺。メンソールじゃないタイプの。ガラムは甘すぎて2、3本吸ったら捨てちゃった。なんやかんや結局セッターに落ち着いてしまう。

 去年あたりのたばこ税の増税で、そのセッターがついに夢の一箱600円に突入してしまった。非喫煙者により詳しく説明すると、コンビニやスーパーでよく見かけるタバコは基本的に一箱20本入りなので、即ち一箱600円のタバコは一本30円なのである。500円台のタバコでも一本25円以上あるので、喫煙者がどれだけタバコに高いお金を払ってるキチガイか分かると思う。一日一箱吸うヘビースモーカーが世の中にはいるらしいが、それは流石に私もキチガイだと思う。

 

 そんなわけで、タバコ代を少しでも抑えたいなと思い、その方法について色々調べてたところ、タバコをやめる手巻きタバコがコスパが良くてタバコ代を抑えられるというのを見つけた。

 またまた非喫煙者に説明すると、手巻きタバコとは「自分でタバコの葉を詰めてそれを紙で巻いて棒状にする、自家製シガレット」である。専用の装置を使って巻く方法もあるし、完全手作業で自分の好きな形に成形することもできる。一般にコンビニやスーパーで売られている、すでに棒状になっているタバコが「紙巻きたばこ」と呼ばれている。

 手巻きタバコの存在自体は前から知っていて、タバコ代が抑えられるという噂も聞いたことがあったが、具体的にどう作るのかは知らなかった。純粋に興味もあったし、いい機会ということで手巻きタバコをやってみることにした。

 

 

その一(手巻きタバコ童貞卒業)

 作り方とかどれを買えばいいかとか分からなかった(一応動画等で確認はしたけど不安だった)ので、それを聞きに行くのも込みで飲み屋街にあるタバコ専門店に行ってきた。

手巻きタバコスターターセット(左から、フィルター、シャグ(タバコの葉のこと)、巻き機)

タバコの葉。麻薬取締官に捕まりそうな見た目してんな

 巻く用のペーパーは基本シャグに付属していて、一本のタバコ葉の量を少なく作らないのであれば枚数足りるから特別買う必要はない、とのことだったのでペーパーは買わず。まあ、レギュラーサイズのタバコしか作る気ないし、これからもペーパーは買わない気がする。

 フィルターはなんとなくチャコールフィルター買ったが、チャコールって活性炭のことだったのね、知らんかった(馬鹿)。タールやニコチンが活性炭にごっそり持ってかれるみたいだから、次からは普通のフィルター買お(ヤニカスの末路)。

 

手巻きタバコ第一号

 

 思ったより葉っぱ入れないとスカスカになるのね。あんま詰めすぎて使いまくるとタバコ代節約にならないんだろうけど、そこの塩梅は完全にお好みでってことだね。

 

何本か作ってみたけど、形が揃わなかったりしてなかなか上手くいかない……

 

その二(作業環境の整備)

 葉がボロボロ周囲にこぼれたりして面倒くさいことに気づいたので、YouTubeの動画を参考に、百均の商品で少しでも楽になるようにしてみた。しばらくはこれでやってみようと思う。あと数ヶ月したら冬に入ってくるから、葉の乾燥対策も追々考えていこうかな。葉の水分量は味わいに関わってくるからね。

百均で色々買って、やりやすい環境整えてみた

 


www.youtube.com

 

 

まとめ

 まだ始めたばかりなので何とも言えないが、手慰みとして面白そうだしついでにタバコも吸えるしなので、続けようというモチベーションは今のところある。作業に慣れれば、アニメ見ながらの手慰みにもできそうだし。まあアニメ見ながら30分もタバコ巻き続けたら、半月は巻かなくていいぐらいの本数ができそうだが(私の喫煙量的に)。

 タバコ代節約に関しては自分ではちゃんと計算してないのだが、他所の話で「言うほど抑えられない・手間の分だけむしろ損している」というのを見かけた。もちろん葉を多く詰めすぎないようにするのは最低限気にかけることとしても、手巻きタバコの良さって安くできる以外にも面白さがあると思うから、そこはものの考えようってところかな。シャグ選びはもちろんのこと、レギュラーかスリムかや長さ、フィルターの種類あるいは有無、巻き機を使わないのであれば自由な成形ができるだとか、色々あると思う。タバコ屋の人の話によると、キャンディみたいな形にしている人もいるのだとか。難しそうだけど、シャグを自分でブレンドするってこともできそう(ネットにいくつかレシピ転がってるみたい)。

 手間がかかることを好んで始めているが、同じくメンテの手間がかかるジッポは使う気は今のところほとんどない。自分でもそのモチベの差はよく分からないが、タバコそのものには手間かけてもいいけど、それ以外の喫煙具は最低限なものであればいいっていう感じなのかな。

 

 

夏へのトンネル、さよならの出口 感想

 「夏へのトンネル、さよならの出口」を観た。公開日2022年9月9日。ラノベが原作で、原作出たころから気になってた作品。「面白そうだないつか読みたいなー」「おっ、アニメ映画化するのかー公開日までに原作読んどきたいなー」「あれ?原作読んでないけどもう公開日じゃん」ってな感じで、原作は未読で映画の方を観た。あと伸ばしにし続けるそういうところだぞお前。

 

 

 

あらすじ

 子供の頃妹を亡くし、母親は家を出ていき、酒に溺れる父親と二人暮らしをしている塔野カオル。祖父に憧れ漫画家を目指すが、両親に「頭を冷やせ」と言われ田舎の学校に転校させられた花城あんず。二人は「なんでも願いが叶えられる代わりに、100年歳をとってしまう」という噂の、通称「ウラシマトンネル」を見つける。塔野は亡くした妹を取り戻したい、花城は名を残せるような漫画を描ける特別な才能が欲しい。二人は協力関係を結び、ウラシマトンネルについて探っていく。

 

 

 

 

感想(ネタバレ有)

 

 

塔野と花城の出会い

 塔野が通っている学校に花城が転校してきて、転校初日の前に出会っていたという、ありがちな出会いである。オーソドックスで良いとも言えるが、この辺のくだりもうちょっとひねって欲しいよなあと常々思う。トンネル入り決行直前とか13年後で、出会いのシーンを彷彿とさせた展開自体は好きだったので、その大元がもっと攻めた感じになればなあと。

 塔野は苦しい現実と悲しい過去にじっと耐え続けているようなキャラクターだと感じた。気に食わない女子をとりあえず殴るおもしれー女花城が、塔野とは対照的に現状の打開の象徴として表現されているように思う。相反する二つが出会うことによって、物語が動き出す予感を感じさせているのではないだろうか。

 花城の美しい黒髪ロングと不敵な眼差しすごい素敵ですき。一見清楚なだけに見えるけど、内に熱い想いを秘めたキャラっていいよね。まあ何と言っても黒髪紫眼のビジュアルが私にはとてつもなく好みでたまらなかったのだが。塔野に覆いかぶさられた花城の「どいてもらえる」は完全に綾波レイだった。その後の塔野の慌て方とかもう完全に碇シンジだった。

 

ウラシマトンネル探索の日々

 トンネルの内と外で時間の流れ方が違うことに気づいた二人は、具体的に何秒の差があるのか、電話やメールの送受信は可能なのか等について探っていく。電話やメールのやり取りがスマホではなくガラケーで行われてたのが、印象的だった。途中で出てきたカレンダーが2005年だったので、なるほど確かに。初代iPhoneの発売は2007年である。私も高校の時はガラケーだったがほとんど使ってなかったので、小学生の時親のガラケーミニゲームやってぐらいの馴染みしかないが、文字入力の時に携帯が小刻みに動くのとか、充電端子が今より一回り大きかったり、充電端子雌側の本体はカバーで覆われてたり、花城のはスライド式だったりと数え上げたらキリがないが、とにかく懐かしさで時代描写の方に気がとられる場面がいくつかあった。喫茶店のインベーダゲームのテーブルとかもそうだよね。あれの実物私は見たことないんだけど。

 そんなこんなで色々トンネルを検証していく日々の中で、二人の距離が縮まり、いつしか「好き」の感情が芽生えてた、というところはもはや詳しく説明するまでもないだろう。そういう展開いっぱい見た。ただ、恋愛描写はしつこくなくむしろ若干ドライ強めであったので、キツさは感じなかった。あくまで利害関係という立場を正しくとっていたからであろう。また、その適切な「緊張」があったからこそ、花火大会や13年後でその想いが爆発する時の美しさがあるとも言える。ラストのメールで告白するシーンとか終盤でコロッと妹から花城に行っちゃうのは個人的に多少のキツさベタさを感じたのだが。

 

二人が叶えたいそれぞれの願い

 塔野が叶えたいのは「死んだ妹を取り戻す」、花城は「名を残せるような特別な漫画の才能」であった。水族館デートで花城は、塔野は普通の人とは違う世界の見方をしていると気づき、それを見れば特別な才能が手に入ると考えた。塔野を押し倒して「あなたになって、あなたの世界を見たい」(みたいなセリフだった気がするけど覚えてない)って言う場面はもはや「あなたとセックスしたい」って言ってるようなもんだろ。曲解オタクキツいですねハイ。

 自分には才能がないと言う花城に対して、そんなことはないと言う塔野だが、自分の価値観や才能の自己評価なんてそんなもんだと思う。自己評価高いのはナルシストぐらいのものだろう。また、塔野自身も自分の世界の見え方を「味気のないもの」と花城に言っていることから、彼も自己評価が低いことが窺える。塔野も花城も自分を平凡でつまらないと低い自己評価している似たもの同士なのかもしれない。だからこそ二人は惹かれ合ったのだろうか。

 塔野が花城に「ただ才能が見つけられてないだけだ」と言うが、その通りだと思う。花城と塔野の価値観が違うように全ての他者も価値観が違うのだから、自分の価値観ではそれは才能でなくとも他者の価値観にとっては才能である可能性がある。それがただ単に漫画家や漫画家志望者の数の暴力で埋もれていて、発見されていないだけなのである。数の暴力で埋められてしまっている状況の中で発見してもらうためには、発見しようとしている場に自ら赴く必要がある。それが彼女が供養のつもりでやった、出版社への投稿だったわけである。「為せば成る、為さねば成らぬ、何事も」である。

 

「帰ってこれないウラシマトンネルへの旅」決行

 ウラシマトンネルに本格的に入って願いを叶えるという計画は、当初塔野と花城の二人で行われるはずだったが、塔野がその約束を破って塔野一人で入っていくことになる。これには、①「ウラシマトンネルは「願いを叶える」のではなく「失ったものを取り戻す」場所である」ことに気づき、失ったわけではない花城の才能はトンネルでは得られないからであるのと、②「担当編集がついたのなら、その担当とちゃんと現実で漫画を描いて欲しい」という想いの二つがあったからである(②は半分妄想かもしれない)。残された花城はたまったものではなかったが、塔野なりに花城を想ってのことだったのだろう。このことから、タイトルにある「さよなら」は「2005年のあの夏へのさよなら」「花城へのさよなら」の二つの意味があると考えている。

 トンネルの①の性質の通り、トンネル内では彼の失くした音楽プレイヤーやっぱりこいつますます碇シンジに見えてくるや、幸せな家族像(再婚相手との家族像だったので嫌悪感を示していたが)があった。最後は妹を見つけ、全てを忘れかつての日々(しかし当然幻想)に溺れていくことになる。回想シーンで常々思ってたけど、妹めちゃくちゃ可愛いよね。夏の幼女のノースリーブ短パンの露出度高い健康的な姿たまりませんなあ。

 一瞬は幻想に溺れる塔野だったが、(理由は説明されてないが)トンネルの外部から花城のメールが何年分も届いたり、妹の「お兄ちゃんは私以外の人も好きになって欲しい」「私とお兄ちゃんとお兄ちゃんの恋人と三人で笑顔に」の言葉で、元の世界に戻ることを決意することになる。「三人で笑顔に」は、妹はもう死んでいるので言葉通りの意味というよりか「兄と彼女の二人で仏壇に手を合わせてね」「でも昔のことにいつまでも囚われないでね」というニュアンスだと思う。花城のメールが届いた理由としては、まあ愛の力とかなんじゃないか?知らんけど。ここら辺の展開は、すぐに妹から花城に想いを戻しちゃうのも含めて、都合がちょっと良すぎるなーと思ってる。まあ深く考えたら負けだし意味のないことだね。13年に渡って募っていた想いのメールが一気に届くという情緒自体は非常に好き。「宇宙よりも遠い場所」にも似たようなシーンあったな。あっちの方はこの映画のメールシーンとは比にならないぐらい目と鼻から汗出まくったなあ。別の作品の話しだしてすまん。

 最後は歳をとった花城と13年前そのままの塔野が幸せなキスをして終了。歳の差カップルいいゾ〜コレ。花城が見た目言うほど老けてないってのが、万人受け狙ってるって感じだけど、まあ13年だしそんなもんか。トンネル内で10秒、現実では約6時間のキスとかマジでエロすぎるだろ。やっぱりセックス(ry

 ラストの、塔野に返しそびれてさび付いた傘を開くシーンは、「(さび付いた傘のように)止まっていた二人の関係や想いが(傘を開くように)動き出し広がっていく」様を表現しているんじゃないかなって私は思っている。

 その後の塔野家どうなってるんかね。失踪した息子は死亡扱いにしてそのまま再婚してたとかだったら、父親かなりのクソ野郎になるな。花城家は、娘は失踪してるわけじゃないからなんやかんやで、絶縁にしろなんにしろ家族関係はっきりさせてそうだから心配ないと思う。

 

 ちょっとだけ他所の感想ブログ見てみたら、原作と違って川崎(序盤で殴られてた女子)の描写が全然無いとのことだったので、やっぱり原作読んだ方がいいんすかね。

 

個人的に一番印象に残ったシーン

 最初の出会いを再現するように塔野が花城にひまわりを渡すシーンで、渡した直後に二人の背後が映って一面のひまわり畑(のようなもの)が画面いっぱいに広がったところが印象的だった。二人が出会ってトンネルを探索した一回きりの儚い夏の、その盛夏の只中にいるというのを見せつけられた感覚があった。

 ちなみに傘を渡すシーンとひまわりを渡すシーンとで、塔野と花城の手の上下が変わってるが、これは二人の関係性の変化を表しているのかね?深読みのしすぎかもしれないけど。

 

 

 

 

まとめ

 恋愛描写はそこまでしつこくキツくなく(部分的には少しだけキツかったが誤差の範囲内)、設定やストーリーは特に終盤が若干ご都合感強めではあるものの恋愛話でもあることを考えれば許容範囲。SF×恋愛のご都合主義って突拍子もない作品がいくつかあるが(今私が思い浮かべたものだと「天気の子」とか)、その中でもわりかし許せるレベル。物語のその後の塔野の家族について色々疑問点はあるが、全体としてそれなりに纏まっていて観やすいなと思った。

 花城と妹がとにかく可愛かったです。酒飲みながら感想話したらこれしか言わなくなる気がする。

 

マックの月見バーガーを食べた話

 今年も月見バーガーの季節がやってきたので、マックで食べた。「今年も季節がやってきた」というものの、月見バーガーであることを意識して食べるようになったのは去年ぐらいからの話なのだが。

 

 コメダの月見も話題になっているが、生活圏内にコメダがないので、今のところコメダは考えていない。モスバーガーの月見は検討中。

 

 今回私が食べたのは、「こく旨すき焼き月見」すき焼きが挟まっているのを売りにしている月見バーガーで、マックの月見バーガーの中では一番高いやつ。クーポン使って、少しだけ安くセットで注文した。

 


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バーガー中身の写真撮るの忘れてた……申し訳なし。

 

 マックのハンバーガーはサイズ感がパッケージ詐欺、量的質的にそこまで満足感はないというのは今に始まった事ではないが、「こく旨すき焼き月見」も例に漏れず。具が小さくてバンズがほぼ完全に覆っている。バンズがデカいと言えばポジティブな捉え方だが。なんかバンズ黄色かったけど、月見バーガー仕様なのか?教えて月見バーガー博士。

 味に関しては、美食家ほど舌が肥えてはいないから正しく評価はできないが、普通の月見バーガーよりかは美味しいかな?って感じである。すき焼きがそれを助けていると思うのだが、いかんせんすき焼きの量がそこまでないので判断しづらい。食べ比べればはっきり分かるのだろう。すき焼きの具が入ってる感はあまりなく、ほぼすき焼きのタレって感じ。糸こんにゃくは発見したけど。

 

 マックは、たまに食べる分には良いってのを再認識した今日。お腹の満足感がやっぱりない。不味いってほどでもないけど褒めるだけの美味さもないのがマック。ハンバーガーしか基本頼まないので、ナゲットやコーヒー派閥に攻撃されたら対処しきれないが。そもそも日常的に外食とか学生の身分では金無くなるわ。