A boiled egg

ぼちぼちいこか

本の自炊を進めている

本の自炊とは

紙の本を裁断し、スキャナーで読み取って画像データ化すること。その後タブレットやPCで電子書籍として読めるようになる。

 

 

 

 

最近、本の自炊を始めた。これまでは、「電子書籍は物質として残らないから微妙。紙こそ正義」だったのだが、本棚から溢れそうな本が部屋を圧迫している様子を見てストレスが溜まり始め、電子書籍化に踏み切った。

 

もちろん紙の本こそ一番の正義であるのは今でも変わらないし、できれば裁断したくないと思えるような漫画も一杯あるのだが、やはり物質的な圧迫のストレスとを天秤にかけると電子化の方が今後のためにも良いと判断した。

 

絶対に破壊したくない漫画もあるので、一部の紙の本は残すつもりではある。

 

 

 

 

電子書籍のメリット・デメリット

なんと言っても、最大のメリットは「スペースを取らない」という所にある。

 

紙の本は、買えば買うほど本棚のスペースを埋めるようになっていき、いつかは満杯になる。その際、新たな本棚を作ろうとすると、部屋のスペースは狭くなる。現状で部屋がそこまで広くないと感じているのであれば、新たな本棚の設置には、さらなる部屋の圧迫という懸念が生まれることだろう。

 

しかし、電子書籍は、買えば買うほどストレージを埋めていくこそすれ、物質的な圧迫は一切無くなる。それによって、「これ以上本を買うと部屋の散らかりようが大変なことになるな……」という心配をしなくてよくなる。広々とした部屋で沢山の本を読める環境が手に入るのである。

 

また、電子書籍は紙の劣化を知らない。紙の本だと、どんなに丁寧に管理しても、徐々に黄ばんでいってしまう。電子書籍は、何10年経っても綺麗な白い状態で読むことができる。まあ、むしろ紙の劣化を感じることも紙の本の醍醐味だと感じている人も結構いるだろうが。気持ちは非常に分かる。

 

 

 

 

デメリットも当然ある。まず「パラパラと適当に本を見渡すことができない」という点がある。これは読み返す時にネックになってくる。電子書籍は、1枚1枚ページをめくるという操作をしながらでないと本を進められない。何かしらの編集ソフト上でデータを開けば見渡せないこともないが、その場合表示される画像は読むにしてはかなり小さいので、見渡したいという目的にはほぼ使えない。ただ、私は漫画に関してはしっかりストーリーを確認しながら読み返したい派なので、あまり問題ではない。特定のページを読み返したい時はしおりを設定しておけばいいし。

 

「データが飛べば全てが終わり」というのもある。余程お金に余裕が無い人でもない限り、安価なHDDなどにバックアップを取るだろうが、災害や事故、操作ミスなど、万が一のことはある。電子書籍サイトで買った本であれば再度ダウンロードすれば済む話だが、自炊して作成した電子書籍が消えた場合、それらのデータは帰ってこない。データの管理に関してはこれから自炊を検討してる人はしっかり考えておく部分である。

 

「物質的な充足感に欠ける」というのもデメリットと言えるだろう。紙は、圧迫こそすれ、その本を所有しているという満足感を手に取って実感できる。また、紙の本だと付いてくるような特典もほとんどない。最近はしばしばクリアファイルやイラストカードが無償特典だったり、アクリルキーホルダーや何かのグッズが有償特典だったりするので、それらは手に入らなくなる。まあ私は、本当に欲しい場合は紙も電子も買うことになるのだろうが。

 

 

 

 

 

 

現在の自炊の環境

私は現在、スキャナーはScanSnap、PDF編集はフリーソフトのCubePDF Utility、裁断機はまあ普通のやつでPC上で自炊を行っている。書籍データは全てPDF化している。というかむしろ、他の拡張子でやるまともなやり方をネットで見たことがない。スキャナーと裁断機はサークルの先輩からお借りしたもので、色々と使い方や自炊の手順を教えていただいた。

 

慣れてしまえば全然難しくないのだが、自炊で一番大変なのは、膨大な量の紙をデータ化することにある。最初のうちは新鮮で楽しいのだが、次第に苦痛になってくる。大量の本を一気に裁断してしまおうと思うと、本の糊を剥がす時に指が徐々に痛くなってくるし、紙をスキャンして編集・保存する作業も、慣れてくると終わりの見えない量の本のことばかり考えるようになって、精神的に疲れるようになってくる。数冊の作業であったとしても、すぐに飽きる。

 

 

 

自炊をこれからする人は、この苦痛だけはある程度覚悟しといた方がいい。自炊専門の業者に頼むという手も一応ある。ただ、お金がかからない方法があるならそっちの方がいいので、私は自宅のPCで作業をやっている。バイトとして雇いたいぐらいには結構疲れる。肉体的な疲労はまあ私はいいのだが、編集時は結構辛い。実際、現在かなり自炊の手が止まっている。

 

 

 

 

 

 

 

PDF化した書籍データを読む方法

色々ある。PCで読むのであれば、直接開いて読んだりKindle for PCに取り込んで読むこともできる。タブレットでも、データをタブレットに転送してPDFリーダーで読むことは可能だ。

 

 

しかし1つ大きな問題になってくるのは、本をスキャンした際、書籍データのページめくりがほぼ確実に左綴じになってしまう事である。日本の一般的な書籍は多くが右綴じである。電子書籍サイトで買った書籍データは、紙の本が右綴じであれば右綴じに設定されているのだが、スキャンして作成した電子書籍は大抵左綴じとしてページめくりが設定されてしまう。

 

右綴じの本を左綴じで読むと、読書時の目線の移動に違和感を感じるようになる。右綴じの小説も漫画も、右から左に視線を移動させるように文章やコマ割りの配置が為されている。特に小説はほとんどが右から左に行が進む日本語の縦書きであるので、そうでなければおかしい。ページめくりのアニメーション設定にもよるが、右綴じの場合は、ページをめくった時にまず目に飛び込んでくるのが前ページの直後の連続した内容であるのに対して、左綴じは不連続なのである。


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小説ならばギリギリ我慢できる人もいるかもしれないが、漫画だとこうはいかない。見開きページが最大の問題として立ち塞がってくるのである。

 

 

 


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上が右綴じ、下が左綴じである。この問題は、端末を縦にして1ページごとの表示にしても、明らかに違和感を感じる。左綴じは、左から右へページが進んでいくのだから当然である。本来繋がっているはずの部分が完全に断裂している絵を読むのはかなり苦痛だ。

 

たとえ見開きページではなかったとしても、そもそも漫画は右綴じを前提としたコマ割りがされているので、相当のストレスを感じるであろう。

 

 

 

 

 

では、どうすれば右綴じで自炊した書籍データが読めるのか。

 

まず1つ、スキャンしたPDFの編集時に、綴じ方を変更する方法がある。「Adobe Acrobat」を使うと、簡単に綴じ方を変更できるが、このソフトウェアは有料であるので、自炊の為だけに買うのは微妙な気がする。「Adobe Acrobat Reader」という無料版もあるが、機能が制限されていて、綴じ方の変更ができない。頑張って設定をいじって綴じ方を変える方法がどっかのサイトで紹介されていた気もするが、面倒そうなのでこの方法はやめた。

 

 

 

 

2つ目に、元データは左綴じのままで、電子書籍アプリの読書設定で右綴じで読むようにする方法がある。私はこの方法で自炊データを右綴じで読むようにしている。電子書籍アプリと言えばKindleであるが、Kindleでは綴じ方の変更ができない。

 

 

私が使っているのは、紀伊國屋書店の「Kinoppy」というアプリである。このアプリではKindleのように電子書籍も販売している。自炊データを端末に転送(恐らくDownloadとかのファイルに入れるとアプリに読み取らせる時に都合がいい)し、アプリの本棚の設定からローカルコンテンツを読み取らせると、自炊データが本棚上に表示されるようになる。読み込んだ本を最初に開いた時は左綴じなのだが、本を表示中の時の設定から右綴じに変更することができる。

 

また、このアプリの本棚は、自炊データとアプリで買った電子書籍を同じ棚に表示することができるという特徴がある。Kindleだと、コレクション表示機能を使えば自炊データと電子書籍を並べることはできるが、Kinoppyの方が圧倒的に簡単である。本の表示も、実際の本棚のような並び方になっているので、Kindleよりも本棚が見やすい。

 

Kinoppyは、Dropboxにあるデータも引っ張ってこれるので、自炊データの閲覧には非常に優秀なアプリである。

 

 

 

Kindleにも自炊データを転送する方法はあるが、取り込みのしやすさ、本棚の見やすさは圧倒的にKinoppyが良いし、綴じ方も簡単に変えられるので、私は後者を使っている。

 

 

 

 

 

 

 

 

まとめ

電子書籍に対する自身の考えるメリット・デメリット、自分のやっている自炊の方法はこのようなものである。とにかく私は自炊データを読むのにKinoppyをお勧めする。

 

自炊のやり方を調べている人は、ネットに色々と方法や手段が載っているが、基本的な手順はその通りにするとして、どういう風に読むかなどは個人の好みなので、好きなものを探り探りで見つけていってほしい。

 

 

 

 

 

 

 

ところで、膨大な量の漫画の自炊を無償でやってくれる心優しい方とかいないんですかね。