A boiled egg

ぼちぼちいこか

ヘレディタリー/継承 感想

「ヘレディタリー/継承」というアメリカのホラー映画をアマプラで観た。2018年の作品。

 

 

 

 

あらすじ(三行で)

・秘密が多かった祖母が死んだ

・色々と不可思議な現象が家族の身の回りで起こる

・孫娘は一風変わった癖や言動が多い

 

 

感想(ネタバレ多少有)

 

 

 ホラー映画は、特にびっくり箱系の作品はあまり好まないのだが、この作品では我々の寿命を縮めてくるようなびっくり演出はなかったという点で、良い「ホラー」映画だった。というか観る前に、びっくり系かどうかは調べるので(ビビり故に)、今の評価は私にとってはさして重要ではない。

 

 

恐怖の正体と悲劇性

 びっくり系ではないホラー、つまりはじわじわとやって来る未知の恐怖を主体とした作品にも色々あると思うが、「ヘレディタリー」のホラーは、「本当にわけのわからない未知の恐怖が迫りくるが、それに抗う術も全く分からない」と言えばいいだろうか。

 「本当にわけのわからない」に関しては、欧州の悪魔崇拝に詳しければ多分途中で色々と気づけるのかもしれない。私はその辺の文化に関しては無知だったので、本編で悪魔の名が出てきても、最後まで( ゚д゚)ポカーンとしてた。作品観終わった後に、他所の考察ブログ読んであーそういうことね完全に理解したなんとなくは理解したという感じ。悪魔崇拝について詳しい人は例外として、恐らくほとんどの人は初見では「前半:わけわからんなー何が起こるんやうなー怖いなぁ→後半:いきなり悪魔の話?は?」って感じなんじゃないかな。

 「抗う術が全く分からない」の方については、結局は「抗う術がそもそも存在しなかった(血統に縛られる運命だった)」という事であったが、この部分はやはり劇中の授業シーンの「選択肢の有無で、結末の悲劇性はどうなるか?」が思い起こされる。そのシーンでの学生の回答にあった「選択肢が無いのであれば、関わる人物の全てがただの駒に過ぎないため、悲劇性は低まる」は、まさにこの作品の過程と結末の意味するところを表しているのではないだろうか。祖母が始めた儀式のもと、祖母と血筋の上で駒として弄ばれるしかない運命だったのなら、最後の悪魔降臨は仕方のないことで、最初から最後までの動作が決まっている機械の歯車を眺めるように、悲劇的でもなんでもない物語なのかもしれない。

 

 

グロ描写について

 ホラー映画というのもあり、グロい描写はしっかりあった。生首や死体の腐敗の描写、焼死体あたりがグロ要素としてのホラー演出の見せ場だったのだろうが、そういうの慣れすぎて「おほぉ^~、リアルでええねぇ~」ってなってた。スプラッターとか死ぬその瞬間とかはまだ慣れないけど(つまりリアルタイム的なグロ(特に流血表現)が無理)それ以外は割と慣れちゃったんだよな。pixivで人間丸焼きフルコースのイラストを爆笑しながら見れるぐらいにはなった。まあいずれにしてももちろん、フィクションの中では慣れてるってだけの話で、ガチ事件として目の当たりにしたら流石に吐くと思うが。

 生首クラッシュや人間バーベキューのグロシーンも「儀式」の一環だったんだろうなと考えると、ただ怖いシーン入れました~ってだけのホラー映画じゃないんだなって。ホラーの主体にグロがあるんじゃなくて、あくまで儀式の恐ろしさを際立たせるためのスパイスとしてのグロってところかな。

 

 

劇中のお気に入りのBGM

 この映画を観たいと思った最初のきっかけが、ラストシーンで流れるBGMであった。YouTubeのショート動画のBGMに使われてて、荘厳でかっこいいなー元ネタなんなんだろうなーってなって、この映画を知った。

 劇中でこれが流れるラストシーンは、その場面にいる彼らにとって厳かではあるが、私たち観客にとっては最悪以外の何物でもない。Reborn、すなわちヤツが再臨してしまうのだから。


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ミニチュアの意味するところ

 劇中で起こる出来事を象徴し、要点をまとめる役割を持っているんじゃないかなと私は思った。儀式の一環だとか考えることもできるだろうけど、あまり深く考えすぎても複雑化してしまう気がするので、あくまでも印象的な出来事を象徴しているという所までで考えをとどめている。

 あと、「ミニチュアを作るように、全て儀式のもと祖母の手のひらの上で転がされていた」の象徴であるとも言えるかな。

 

 

 

 以上、おわり。もやっと中途半端にせずに、勝利か敗北かの結論がはっきりしているのが気持ちよかった。勝ったと思ったけどまだ残党がいたんですよ~っていう終わらせ方割とよくあるからね。

 もやっとはもやっとでも、胸糞悪いのはまた別の話なのでそこは注意が必要。胸糞悪くても結論はっきりしてるのもあるからね。まさしくこの作品がそうだけど。