A boiled egg

ぼちぼちいこか

ゲーム「蒼の彼方のフォーリズム EXTRA2」感想 [ネタバレ有]

 spriteより発売されているエロゲ蒼の彼方のフォーリズム EXTRA2」をプレイした。

 前作の本編「蒼の彼方のフォーリズム」のメインヒロインの一人「鳶沢みさき」ルートのその後を描いたものである。あおかなでの私の推しキャラである。結婚してくれ。

「届けられる」から「届ける」へ

 目指す場所へ「届けられる」側だったみさきが、今度は「届ける」側として晶也と向き合うようになるその変化が、本作のメインであると私は思う。

 晶也は、「もう一度FCをやりたいと願ってはいるものの、一歩が踏み出せない」という心情が度々描写されているが、前作では「セコンドとして選手を導く、目標に届かせる(選手を完全に諦めたわけではないが)」という形でその感情を昇華させていた。

 そして、本作ではその先の「届かせた選手(みさき)に、今度は自分(晶也)が、自身の目標に届かせてもらう」という関係になっていっているのである。

 この関係性の変化の要因は、秋の大会で優勝した後のみさきの、FCやそれに関連する人間関係などに対する考えの変化ももちろんあるが、晶也にも心境の変化があった。

 本作の真藤 vs. みさき練習試合で感じていた、彼の「自分の方がもっとすごいんだってことを今ここで見せつけてやりたい」という思いを持つようになったことに、その変化がよく表れている。セコンドとして見上げるだけで良いとさえ思っていた人間が、今すぐ試合に飛び込んでいきたいと思うようになれるには、みさきや周囲の支えがあってそれを受け止め勇気を出せる彼自身の努力が必要なはずである。

 もうね、主人公とヒロインの「届ける」「届けられる」の補い合いだけで最高にアツくなれるんですわ。恋愛感情の枠の外にある、切磋琢磨しあう仲間・戦友としての信頼関係も成長していくその様が美しい。

 そしてやっぱりみさきは可愛い。このまま結婚しよう。

 

全試合が最高にアツい

 みさきと晶也以外のキャラも、ハチャメチャにアツい。特に私が好きなのは真藤 vs. 紫苑とみさき vs. みなもである。というか、この2試合+真藤 vs. みさきの試合がある物語終盤が、全部激熱すぎるのである。

 真藤 vs. 紫苑

 紫苑が最後こそ真藤に勝ちたいと思って、様々な特訓をして挑む試合。特訓で得た技術で奇襲に成功してリードした、その瞬間に私は最高に昂った。不格好で汚いプレースタイルの紫苑が、最強の選手に勝てるかもしれないという、下剋上的なものを強烈に感じ取れた。窓果の「ヒーローをぶっ倒せ!」というセリフがとても印象的だった。やっぱり窓果はブラコン

 結局のところ逆転されてしまい、ヒーローを倒すことはできなかったが、「あと少しで勝てたかもしれないのに」という悔しさが、紫苑がこれからもFCを続ける理由となったわけである。彼は筋トレしてる時とか、雄たけびをあげながらやっていることがよくあるが、悔しさで出てくる絶叫がいつものとは声色が全然違うのが、本気で悔しがっているんだなと痛烈に思わせる。

 

 みさき vs. みなも

 対戦相手を愛することで選手として成長していく、というパッと聞いただけでは何言ってんだこいつとなるような、でも端的にはそう表すのが適切な試合だった。だってそうとしか作中で表現されてないんだもん()

 ここでいう愛するは、つまりは「好敵手と書いて『とも』と呼ぶ」とか「敵のことを徹底的に研究する=敵のことを常に考える≒憎たらしく思えてきて愛憎入り混じる」みたいなもんだと思っている。つまりメンヘラ。

 みさきを恋敵として、そして選手として真っ向から立ち向かう様がもう素晴らしすぎた。カッコよすぎる。熱血スポコン恋愛アドベンチャーここに極まれり。そしてみなもはマジで可愛い。ごめん、やっぱりみなもと結婚するわ

 色んな選手がみさきに牙を向けて、勝敗に関わらず何かしらの傷跡を残していく。本作ではそれもまた一つのテーマとしてある。その中でみさきが様々なことを考え、成長していくわけだが、みさきも色んな選手に傷跡を残している。

 それは優勝をした秋の大会の場であったり、その後の様々な練習試合であったり。それらの試合で、一方的ではなく、お互いがお互いに傷を残し合っている。対戦競技なのだから当然だ。みさきもまた誰かに傷を残すからこそ、その誰かからもう一度傷を残しに立ち向かってくるわけである。そのような関係が、本作では「果たし状」という形で表現されている。

 あおかなで一番主人公らしいキャラは誰かと言われたら、全員である。いや、マジで。前作の方でもそうだったが、サブキャラもとんでもない主人公ポテンシャルを持っていたりする。

 一応晶也視点の物語なので、メインヒロインが一番カッコよく映るのは当然なのだが、スポーツというものの在り方として、キャラクター全員を対等に、メインと同等程度の熱量を持って扱っているのが、この作品群が熱血スポコンと呼ばれる由縁の一つなのである。故に全員が主人公であり、誰が誰と試合をしても、最高の展開が待ち受けるのが良い。真藤 vs. 紫苑のシーンが終わった後とか、「最終回終わっちまったな……あ、そういえばみさきの試合がまだだったか……」というぐらい最高だった。

 

おわりに

 もうね、最高だった。試合シーン全部良すぎて、興奮して毎度喉を枯らしてた(ガチ)。実はEXTRA1はまだやってないので、それもそのうちやらねば。

 そして、あおかな関連で私が今待ち望んでいるのは「IF01 -MINAMO SHIRASE-(仮称)」という企画。キービジュはこれ↓

 みなもはみさきと並んで1、2を争う推しなので、みなもルートの制作が計画されたというだけで大興奮。そしてキービジュが反則級に可愛い。その顔でお兄ちゃんと呼ばれたい。嘘、その顔じゃなくても常に呼ばれたい。どけ!俺はお兄ちゃんだぞ!

 というわけで、あおかなシリーズはFDがメイン以外にも手が伸びてるので、これからも非常に楽しみ。ZWEIなんてなかった、いいね?もうこのまま全員分作ってくれ。窓果も結構好きなので、彼女の個別ストーリーも作ってほしいなあなんて。

 ただ、開発しているspriteは今は別のゲームの制作をしているところだから、IFがいつになるか分からない。早くても2年後とかかなあ……