A boiled egg

ぼちぼちいこか

アニメ「水星の魔女」2クール目 感想

 2023春アニメの「水星の魔女」の2クール目を見た。

 

 ちゃんとガンダム系統を最後まで見るのは今回が初という事もあり、企業間とか人物間の対立構造はよく分かっていないのだが、老若男女問わず争い合っている様は滑稽で爽快で気分がいいなと、とりあえず思った。あと一歩であらゆる関係・文明が滅茶苦茶に、修復不可能なレベルまで粉々に破壊されてしまうかもしれない緊迫感って、どっちに転んでもカタルシスを感じることができるので好きである。個人的には、破壊されちゃう"バッドエンド"の方もたまにはやってみてほしいなと思う。ハッピーエンドって登場人物の人生が最終回のその後も続いていくけど、我々視聴者は最終回で置いて行かれる寂しさがあるけど、バッドエンドは(登場人物の生存の如何に関わらず)登場人物たちの人生はとりあえず一旦終わるから、置いて行かれるのを感じずに済むという感覚が強く残るので、ある種の安堵感を覚えることができる。

 まあ私個人の性癖の話とかどうでもいいですね、ハイ。

 もちろん、(一応)ハッピーエンド(っぽい終わり方)だったのも、別に普通に良かったと思ってる。1クール目の、ミオリネの花嫁がスレッタで百合だ云々の話はどこか彼方に飛んでいってしまったわけだが、あくまでそれは傲慢な態度を取るミオリネが、そういう態度のくせして父親の庇護下で甘えているだけであるという状況の表れとして機能していただけに過ぎない。一人の女社長として完全に独立した後は、父親が決めたそんな花嫁ルールに従う理由なんて必要ないので、自然消滅したということだろう。一応友情や信頼的な形で辛うじて残り続けてはいたが。

 

グエルとかいう裏主人公

 スレッタやミオリネよりも、ぶっちゃけグエルが2クール目の主人公のようなものなので、そっちの活躍の方にばかり目が行っていた。彼の何がかっこよかったかと言われれば、全部としか言いようがないが、個人的には地球から戻ってきたあたりである。父親を殺してしまった罪悪感に苛まれながらも、どこか覚悟を決めたその顔がめっちゃかっこよかったことを記憶している。前半から後半にかけての成長っぷりを見れば、もはやグエルが本作の主人公まである。スレッタ・マーキュリーって誰だよ。

 

スレッタの心境の変化の話とか

 あと印象に残ってるのは、スレッタが1クール目でよく口にしていた「逃げたら一つ、進めば二つ」が、終盤では「進んでも何も得られないかもしれない、でも進むしかない」に変わっていたいたことである。1クール目最終話で人を殺してしまって以降、進んでも必ず多くを得られるわけではない、ということに気づいたことの表れである。進んで常に多くを手に入れられると思い行動した結果、逆に彼女は多くの苦難や困難に直面してしまった。そもそも「逃げたら一つ、進めば二つ」で語れるほど人生の不幸や幸福は単純な構造をしていない。人によって不幸とか幸せの捉え方も違うので、それらの実態はさらに複雑さを極めたものなのだろう。例えばプロスペラの思う幸福、すなわちエリクトの復活のためのクワイエット・ゼロは、スレッタにとってはそうではないとか。

 兎に角、様々な艱難辛苦を経て「でも結局進むしかない」と思うようになったのは、何も得られなくても、生きてる限りは否が応でも時間は前に進み続ける、進み続けてしまうことに気づいたからではないだろうか。だから、最終局面でスレッタが母親のプロスペラの前に立ちはだかった時にはきっと、「何も得られずに母やエリクト、他の仲間も全て失うかもしれない、けどやるしかない」という覚悟があったに違いない。

 いやーメンタル強すぎ。私だったら絶対無理。どうあがいても前に進むしかない「人生」という出来事において、前に進む勇気がないやつは死ぬしかない。前に進もうとしない人は「生きている」のではなく、ただ「死んでいない」だけだと思っている。色んな人に怒られそうな思想だね。主にニートあたりに怒られそう。私の人生も前に進ませようという意欲が全然ないので、人生を終わらせる場所をとりあえず探しておいてもいいかもしれない。「死んでないだけ」の人生もそれはそれで個人的には良さそうとも思えるけど。

 

スレッタの正体の話とか

 アニメ公式サイトで「ゆりかごの星」が公開されてた頃からあった考察だけど、スレッタはやっぱりエリクトのクローン的な人物だったんだね。まあ私も前々からそうだろうとは思っていたので、いざ本編で明かされても「ですよねー」ぐらいにしかならなかったわけだが。

 それにしても、自分が他人のクローンとか言われた日には、私だったら絶対アイデンティティの崩壊起こしてる自身ある。やっぱりスレッタのメンタル強すぎワロタ。まあそもそも我々とアニメ中の人物たちとで、クローン等に対する倫理観は大きく違うっぽいのが大きく影響はしているだろう。エランの強化人士の話をされて、比較的すぐにその話を受け入れてたところとか見ても、それがよく分かる。

 

ペトラ生きててマジで良かった。幸せになってくれ。

百合とかどうでもいい。やはりヘテロが大正義。