A boiled egg

ぼちぼちいこか

「変人のサラダボウル」5巻 感想

 平坂読ライトノベル「変人のサラダボウル」の5巻を読んだ。2023年7月19日発売。

 

 このラノベの感想記事は当ブログでは初めて書くので、一応ざっくりとあらすじを紹介しておこう。

あらすじ

 小さい探偵事務所を経営している鏑矢惣助は、突如空から降ってきた異世界の皇女サラと出会う。惣助はこの世界で行く当てのないサラを引き取って養いながら、探偵の仕事も地道にこなしていき、サラはこの世界の事情を学び、さらに学生として日々を送っていく。また、異世界から一緒にやってきた女騎士リヴィアも、この世界で生きていくために奮闘していく……といった、いわゆる現実世界をベースとしながらもファンタジー要素も多分に含まれた「群像劇」である。作者的には「群像"喜劇"」であるらしい。惣助やサラ、リヴィア以外にも、離婚関連の裁判が好物の性根の腐った女弁護士とか、他の探偵事務所でハニートラップの達人の悪女とか、カルト教団の教祖とか色々出てくる。舞台は岐阜なので、織田信長とか美濃・飛騨とかの岐阜ネタも多く出てくる。

 作者の前作「妹さえいればいい。」も群像劇であるので、作品のテイストとしては割と近い。作者が同じで作風も似ている、しかも挿絵担当も同じなので、「このキャラ、『妹さえ』にも似たようなのがいたよな……」ってめっちゃなる。ちなみに前作との繋がりがないことは作者自身が明言している。

 この作者の作品は本作「変人のサラダボウル」と「妹さえ」しかちゃんと読んでないので、他の前作と比較しての本作の特徴はちょっと分からないのは申し訳ない。「はがない」はいつか原作かアニメ見たいなあとは常々思っている。

 

以下、5巻までのネタバレの軽い感想

 

サラの学生生活

 サラは相変わらずJC生活をエンジョイしていて、読者目線からしても、親のような気持ちになってしまう。ただ、安永弥生を始めとしたいわゆる「家臣」がいるのは、現実世界をベースにしては異次元のハーレムっぷりであるのは、やはり良くも悪くもぶっ飛んでいて面白い。飛騨狂いの沼田涼子たそも可愛い。ヤンキー系ツンデレキャラがサラに甘嚙みされて可愛い声が出ちゃう百合展開、イイゾ~これ。いじめ解決の件以来出番が少なくなっている永縄友奈の話も、ぼちぼちまた見たいところでもある。サラたちとの絡みは少なくてもいいから(学年も違うので話も作りづらそうだし)、純粋に彼女が今何を頑張っているかを知りたい。群像劇の魅力の一つに、主人公格でない他のキャラの人生も強く気になるというのがあると私は思っている。

 一応惣助もハーレム主人公的なポジションなのだが、どうしてもサラには見劣りしてしまうよな…… とか言っていたら5巻でブレンダが熱烈アプローチをかけてきて、惣助も無自覚に彼女を好きになりだしてるので、実は5巻では惣助のハーレムの方が大盛り上がりである。私は「日本人男性の最大公約数に好かれる見た目の」閨春花(作中の説明そのまま)の方を、日本人男性である私も例に漏れず好きなので、是非とも彼女の方に頑張ってもらいたい。口のすぐそばにあるホクロがエロ過ぎてすこ。早くしないと惣助の童貞がブレンダに奪われて、処女喪失も先を越されてしまうぞ。

 

裏社会の長、リヴィア

 リヴィアはさらに裏社会に足を突っ込んでいって、もはや足どころか全身どっぷりと浸かってしまっているまである。なんやかんやあって、亡くなった極道の娘の戸籍を引き次いで法律的にも正式にこの世界で生活できるようになり、肩書きは半グレ組織のリーダー兼、極道組織の頭兼、カルト教団のリーダーという、チート系主人公も顔負けの立ち位置になってしまっている(金魚の糞として、バンドのギタリストでもある)。肩書きのうち後ろ2つは作中ではまだ、明確に役職を得たとは言ってないが、バンドメンバーの明日美の「カリスマ性がすごいから何でもやれそう」というセリフは、多分全部の役職を引き受けることを示唆したものだと思っている。物語開始以降、5巻までで一番波乱万丈な人生を送っているのは、間違いなくリヴィア改め剣持命であろう。マジでリヴィアさん、最終巻では日本の裏社会全体を牛耳る存在になってそだから怖いんだよな…… サラはサラで、総理大臣にでもなって表社会から日本を支配しそうな、リヴィアとは全く別物のカリスマを持っているわけだが。

 このことについて個人的に思うのは、本作はひょっとして、現実世界では成しえなかった「織田信長の天下統一」を、信長の子孫であるサラや森蘭丸の末裔のリヴィアで成す、というのがこの物語の着地点の一つにあるのではないかな?と思えてくる。ここまでののし上がり方を見てると、十分にあり得そう。ただ、史実通りに、道半ばで頓挫して、死ぬことはなくとも平凡な一般人として一生を終える、というルートも十分にあり得はする。こればっかりは今後の展開次第なので分からないが、そのうち出てくるかもしれない豊臣秀吉タイプや徳川家康タイプの動向次第だろう。もしかしてもう登場してるかも?

 

群像劇が、アツい

 兎にも角にも、こんなにも各登場人物の思惑や行動が錯綜したカオスな物語を綺麗にまとめ上げている作者は本当にすごいなと思う。もちろんまだまだ物語の途中なので回収しきれてない伏線があったりだとか、あくまでフィクションなので多少は無理のある展開ももちろんあるのだが、それをふまえても構成が上手だなと個人的には強く思う。

 群像劇において最も重要なのは、個々の物語の面白さや独自性ではなく、個々の物語を一つの図上に並べた時に、それらの連続性が如何に滑らかであるかということだと私は思っている。平たく言えば、それぞれの登場人物が織りなす物語が、他の登場人物の出来事と綺麗に辻褄が合うかどうかということである。辻褄を合わせなければ、複数のお話が一つの世界上で進行している、という群像劇の大前提が崩壊してしまうので、これが何よりも重要である。ここがしっかりしてないと、物語の構造として欠陥だらけなので、面白さ云々を語る以前の問題になってしまう。個々の話が丁寧に繋がっていてこそ、作品の全体像が明瞭に見えて初めて、明確に物語が理解できる面白さが生まれ、帰納的に個々の話の面白さを感じ取ることができる。

 で、個々の話の面白さに関しては、ぶっちゃけ人によってその感性は違うわけだし、現実世界をベースにしている以上そこまでぶっとんだ話も作れないので、あまり一概には語れない。ただ、現実が基盤になっているが故に、我々の常識や法律を駆使して読者納得させつつも意外な方向に持っていくという、多くを説明せずに奇想天外な展開を演出できるというメリットも、舞台設定の特性上存在する。

 ここまで「群像劇の面白さとは」を長々とくっちゃべったが、正直私は物語なんて1ミリも書いたことのないド素人中のド素人なので、もしこれを作者とかどこかの小説家が見たら「お前は何をほざいているんだ」と言われてしまうのだろう。しかもこのブログの筆者は毎回推敲なしに、書き終わったら即投稿してるから、簡単な論理すらもめちゃくちゃなんだよな。いつもゴメンネ。

 

5巻で脳裏に焼き付いたこと(おわりに)

リヴィアと剣持命のレズビアンセックス

衆道」の話題も出てきたので、いつかゲイセックスもしてくれ頼む

そういや望愛とリヴィアってセックスしてたっけ、忘れちゃった。