A boiled egg

ぼちぼちいこか

アニメ「Dr. STONE」3期 感想

 2023春・秋アニメの「Dr. STONE」の3期を見終わった。全22話。

 2期の司帝国との戦いに勝利したのち、石化の謎を解明するための船旅に出て、石化をもたらす装置を手に入れるまでが3期の大まかな内容である。

 あらすじとかエピソードのポイント言ってたら長くなってしまうので、個人的な面白ポイントだけ挙げておく。

個人的に面白かったポイント

・龍水の存在

 船旅をするにあたって、船の経験がある龍水という人物を石化から起こすのだが、そいつは石化する前の時代では大富豪だったらしい。あらゆるものを手に入れるために、貨幣経済の礎を爆誕させてしまったのがマジで爆笑した。

 これまでは、小規模な集落程度の社会を維持するのが精いっぱいだったが、貨幣経済の誕生により、より大規模な社会の維持が可能になった(もちろん経済だけではダメだが)。これにより、千空らが次に目指している「大量の人間を石化から目覚めさせて、都市を開発する」が可能となっていたわけである。

 作中で龍水も近いことを言っているが、お金の意味の一つとして「人々を繋ぎ合わせる・力を合わせるための共通の理由」のようなものがあると思っている。ので、大量の人間を起こして秩序ある社会を運用していくためには、貨幣経済は必須である。

 科学は生活を向上させるための手段としてある一方で、生活全体の流れをスムーズにするための社会の統制にもちゃんと目を向けているのがとても面白い。龍水に限らずゲンも似たようなことを前々からやってはいるのだが。

 

・男の娘

銀狼の女装カワイイヤッター!!!

←これが こうなる→

 顔が中性的だし体も比較的華奢だからね、仕方ないね。

 ゲンの女装もアリ。キレイなおねいさんって感じ。

 

・石化装置の正体

 イバラとの心理戦、バチクソに面白かった。裏の裏の裏の裏の裏の裏の(ry のかき合いが痛快だった。

 石化装置の正体が、メビウスの輪をさらに複雑にしたようなものであることが、この戦いで明かされることになる。

 似たような曲面は、540°ひねって作られたメビウスの輪の中心線を切ると、できるようだ。180°ひねっただけのメビウスの輪の中心線切断では、こうはならない。

メビウスの帯 - Wikipedia ←「メビウスの帯の切断」の項に書かれている

←切る前 切った後→

 材質とかの問題で違って見えているだけで、図形の性質としては同じ……はず……。

 なぜメビウスの輪の形状をしているのかは現時点では説明されていないが、例えば

  • メビウスの輪は「無限の輪廻」の象徴とされることがある。石化は過去から未来に渡って繰り返されてきた出来事である。
  • メビウスの輪は直感とは反する性質を持つ(輪を中心線に沿って半分に切った時など)。石化の科学的理屈は謎に包まれており、メビウスの輪の不可思議な性質が想起されるので似たような形状をかたどっている。
  • 厳密に言えば石化装置の形状は「メビウスの輪」の定義には則さない。人類がまだ詳しくは知らない科学が石化装置には詰め込まれている。
  • 単純に神秘的でカッコいいから

みたいな感じかなあと思っている。

 

 この次はホワイマンとの対決に向けて、全球規模の人類復活へと動いていくことになる。ここまで3期もやってきたんだから、最後までアニメ化してくれよ~。

アニメ「Helck」感想

 2023夏~秋アニメの「Helck」を見た。全24話。

あらすじ

魔界のとある国。

一人の勇者の手によって魔王が倒され、 新魔王の座をかけた競技会が 開かれることとなった。
大会責任者の帝国四天王ヴァミリオは、 敵であるはずの人間の勇者 ヘルクの参加に激怒する。
勝戦を前に魔王ウルムの城が 陥落した一報を受け、
ヴァミリオはヘルクを含む 決勝に残った選手たちと共に ウルム城奪還へと旅立った。
笑顔で「人間を滅ぼそう」と語るヘルク。
果たしてその言葉は本心か? 笑顔に隠された真実とは……

(公式サイトより)

 

前半の展開

 序盤は「人間滅ぼそう!」と言いながら、人間側であるはずのヘルクが、その狙いもわからないまま、新魔王決定戦で圧倒的な力を見せつける不気味さと、チートアニメのようなシュールさが印象的である。

 魔界が主軸に置かれた物語なのもあって、魔界サイドが完全な悪役としては描かれていない。むしろ人間サイドが悪役として描かれているかな。たまによくある「人間も魔族も、結局互いの正義やエゴを押し付け合って戦争しているだけだ」みたいな、現実の戦争でもよくある形で争い合っているという感じ。


 キービジュアルの一つであるこのイラストが、とても強烈である。「人間は愚かだ!滅ぼそう!」みたいなテーマ自体はしばしば目にすることがあるが、こうも直接的に、しかも満面の笑みで言われると、そのメッセージはかなり印象的になる。その笑顔の裏にどんな暗い感情を隠しているのか、否が応でも想像させられてしまう。

 そんな謎に包まれたヘルクが、その真意もわからずに順調に決勝戦まで進み、ヘルクが魔王になった暁に彼が本当に望むものは何なのか、この先魔界、延いては人間界がどうなっていってしまうのかという不安が、物語への没入感を深めていく。

 

後半の展開

 新魔王決定戦の決勝戦前、ある魔王が討たれ、その城の奪還のために決勝戦組が魔王城へ向かう。この世界では魔王は一人ではないようで、多分江戸時代の藩主とかそんな感じなんじゃないかなと思っている。

 魔王城奪還の際に、とある転移事故に巻き込まれてしまい、ヘルクと帝国四天王の一人、ヴァミリオがとある島に飛ばされてしまう。無職転生でも似たようなのあったな。

ヴァミリオchan kawaii

 二人は魔界に帰るための旅を続け、その旅路の途中で、人間界に今何が起こっているのか、魔界全体がどのような窮地に陥っているのかが明かされていくことになる。そして、ヘルクの口からも、なぜ人間を滅ぼそうと思ったのか、彼が人間界でどんなことを経験してきたのかが語られていくことになる。

 まあまあエグいが、慣れてる人からすれば「あーそういう感じね」っていう程度の真実が待ち受けている。死んだ方がマシ、でも死ねない的な方向性。

 

終わりに

 24話終了時点で、原作全12巻のうち8巻の冒頭まで終わっているらしい。実際アニメ最終話の時点で「これから人間界を救うぞ!」みたいな感じでまだまだ話は続きそうな雰囲気だったし、回収されていない用語や伏線もあるので、できれば二期をやってほしい思いはある。

 が、アニメがこれっきりで「俺たちの戦いはこれからだ!」で終わったとしても、ある程度納得感のある締めではあったので、無くても別にいいかなとも思う。消化しきれていない部分があるにせよ、大事なのは「どう全てを説明するか」よりも「どういう後味で終わらせるか」だと思うので(もちろん前者も大事ではあるが)、締め方が及第点だった以上、もうこれで良いんじゃないかな。

 原作でも回収しきっていない伏線とかあるみたいだが、読後感は満足だった、っていうレビューもちらほら見た。この作品は、細かい伏線回収は大筋にはさして影響してこない作品ということで、筋肉ダルマのヘルクとkawaiiヴァミリオchanのアツい冒険譚として、いい意味で雰囲気で楽しめばいいんじゃないかな。序盤の新魔王決定戦の不気味さだけが少し異質だけど。

ブルーアーカイブ3周年イベント行ってきた

 どうも、ブルアカは2021年の3月末に始めてて割と古参だけど、微課金なので持ってない限定キャラとか人権キャラがそこそこいるクソ雑魚マンです。

 金もなければ、性能を十分に評価するだけの気概も脳みそも持っていないので、「そこまで推しのキャラじゃないし〜」とか「メインストーリー勢だから!」と言い訳して、総力戦や大決戦で一生チナトロ逃してる。この前のクロカゲ総力戦に至ってはゴルトロすら危うかった。

 2024年1月20日(土)と21日(日)に開催された、ブルアカ3周年記念イベントに行ってきた。去年の2周年の時は卒論の提出直前で流石に行けなかったので、今年こそ、というわけである。

会場の様子(展示物やアトラクション)

 名前が公表されている全生徒の、通常衣装のスタンドパネルが会場のあちこちにあり、各部活動の部室や活動場所を模したセットとかもあった。ブルアカ宣言のポーズをして写真を撮ってもらうことができる場所なんかもあった。そのほか巨大なイラストボードやポスター、3Dモデルのショートアニメーションも各所にあったり、これまでのストーリーCG振り返りエリア、チェリノ像があったりした。コスプレイヤーとかアロプラの着ぐるみもいた。

 

 会場の中央には我々先生を散々苦しめている総力戦ボスのバルーン達が鎮座していた。特にデカグラマトンがカッコ良すぎて感動した。その迫力はさることながら、いつもは見ることのできない裏側や細かい装飾・部品などをよく見ることができた。

いつもinsaneを1凸でボコボコにしてごめんね
ケセドはマジでカッコ良すぎて、見た瞬間失禁しかけた

 アトラクションは、バニー衣装キャラによるビンゴゲーム、補習授業部の⚪︎×ゲーム、モモフレンズのキャラたちの競馬、アクリルキーホルダーのガチャガチャ、VR体験(要事前予約)、生徒とのツーショット撮影(要事前予約)などがあった。VR以外は全部行った。

 ビンゴゲームはビンゴにならなかったのでバニーアスナになれなかったし、⚪︎×ゲームは2問目で外したので教員免許剥奪されてコハルに死刑にされたし、競馬はペロロ以外に賭けて外したのでファウストヒフミに抹殺された。

 ツーショットは1日目に通常アリス、2日目にキャンプマキで撮った。2日目は通常マキにするつもりだったのだが、イベント時点での未実装の衣装差分も全て撮れると知って、速攻キャンプの方にした。早く実装してくれ。

 アクキーのガチャガチャは、全10種で1人5回まで。ラインナップの中に私の最推しであるアリスがあったのだが、結果は「アズサ、アズサ、アズサ、チェリノ、サオリ」だった。3個被るとかある???1/1000の確率やぞ???アリス外すより難しいぞ???*1 幸い、一緒に現地参加していた方がアリスを当てていたので、アズサと交換していただいた。サオリは、たまたま会場で見つけたサオリ激推しの友人にあげた。

 

メインステージ

 オープニングステージやゲーム開発現場の紹介とか色々あったが、ゲーム内外の最新情報で、私が特に印象に残ったのに絞ろうと思う。詳しい最新情報は公式X等で全て紹介されているのでそれを参照されたし。

・ゲーム外最新情報

 ASMR情報が一番びっくりした。まず左側を見て「ほーんカヨコか、まあええやん」、次に右側を見て

「ヒマリかー………

ヒマリ!?!?!?! CV:ゆかなの全恥ASMR!?!?!?」

 もうこれは耳が妊娠するしかない。延々と円周率を言っているという情報を聞いて、新手の認知シャッフル睡眠法かな?って思った。ネイピア数バージョンも頼む。

 アニメ情報に関しては、実際に4月になって蓋を開けてみないとわからない部分も多いので、今のところは静観。PVとか番宣は力入ってるけど本編が……ってアニメを色々と見てきたので。ストーリーをアビドス編に絞るというのは妥当な判断だし、まあどちらかと言えば全体的には好印象ではあるのだが。

 紅茶ちょっと気になる。liptonとかスーパーで売ってるような紅茶しか飲まないしバカ舌だが、単純にどんな味がするか少し気になる。ナギサ様の聖水味

 

・ゲーム内最新情報

 イブキ実装!!!ロリコンアーカイブの始まりだああああああ!!!

 一番の大事件は初手で起こった。ゲヘナの新規イベントということで、ついに万魔殿のキャラが実装されることとなった。私は完全に風紀委員会のみだと思い込んでいたので、万魔殿の執務室背景が見えた瞬間に大混乱に陥った。次ぐイブキのボイスで全てを察し、会場は絶叫の嵐に包まれていた。

 風紀委員会は2年半前に夏イベをすでにやってるから、風紀のみのはずがなかった。完全に万魔殿の存在を忘れており、視野外からの攻撃で無事死亡した。

守りたいこの笑顔

大事件その2

 アコ(ドレス)でまたしても横乳!!!今度は背中も露出している欲張りセット!!!

 左手首の腕輪も気になるなあ……(メモロビのおさんぽプレイを思い出しながら)

 

 マコトとヒナ(ドレス)はまあギリ発狂せずに済んだ。イブキが来るんならマコトも来るだろうし、ヒナは個人的には水着の方がインパクト強いので多少はね。

 今回実装されるこの4人、EXも異例で笑っちゃうんだよな。イブキのEX説明文が2種類あるだけでも混乱するのに、ヒナ(ドレス)に至っては4種類もあって思考が追い付かない。後々ちゃんと読んでみたら「実質通常トキEXで、その3発は10秒以内という制限付き」という事らしい。

 あとマコトや虎丸搭乗時イブキのEX範囲めちゃくちゃ広くてワロタ。敵を一掃するときめっちゃ気持ちよさそう。

 イブキがイロハの虎丸に搭乗する機能が実装されるということで、ついにティザーPVのアレを戦闘画面で見ることができるわけである。ここまで3年かかった……

 通常イブキの実装発表した矢先だが、イベントPVにいたイブキ(ドレス)も実装してくれ()

 

 過去おじ編がついに来たわね。去年の突然の最終編告知が予想外すぎただけで、今回は周囲のリアクションは予定調和といったところ。とはいえ誰もが待ち望んでいたことではあるので、当然めちゃくちゃ嬉しい。これでようやく、4.5th PVのスチルのほぼ全てが消化されることとなる。

 過去おじ編終わったら、Vol. 5の2章更新を期待している。クズノハやアヤメ委員長の真相とか、めちゃくちゃ気になりまくってる。

 

おわりに

 最高のイベントだった。展示物、特に総力戦バルーンとかイラストパネルとかを見て回るだけでも十二分に満足できるイベントだった。そして最新情報の盛り上がりを現地で体感することができたのも、素晴らしい体験であった。4周年も絶対行ってやるぞ。

 5th PVを見ててふと思ったのだが、周年イベント以外にも、例えば学校の文化祭を模したリアルイベントとかやるのも面白そうかなーと思ったりもした。どういう形式で各種アトラクションを行うかの企画や、「そもそもどの規模で・その規模で行うだけの施設が存在するか・存在したとして借りられるか」等が難しそうではあるが。


www.youtube.com

 あとはイタズラ☆ストレートやその他ボーカル曲のライブイベントとかは、企画の立案としては比較的やりやすいんじゃないかなと思った。それこそ今回のDJステージの経験とかも活かせそうだし。

 いや~それにしても5th PVを見ると、名前すら設定されていないモブ生徒にも確かに青春があり、真の意味でキヴォトスの全生徒がかけがえのない存在なんだなと思った。もうこの勢いで100人ぐらい生徒を新規実装しても良いんじゃないかな()

*1: (9/10)^5 ≒ 60%

大崎八幡宮 どんと祭(松焚祭)2024

 2024年1月14日(日)に、仙台市大崎八幡宮どんと祭(松焚祭)があった。どんと祭というのは、正月飾りや古札などを焼く行事のことで、大崎八幡宮の場合は特に松焚祭と呼ばれる。

どんと祭 - Wikipedia

 

 仙台には7年ほど住んでいるが、どんと祭を生で見たことはなかった。Youtubeで動画は見たことがあるが、ちゃんと見たのは今年が初である。

 点火式は16時半ごろに開始し、実際の点火は17時ごろ。点火式の前には「裸参り」という、半裸の人々が町を練り歩く風景も、このどんと祭の恒例行事である。

 私は15時半ごろに着き、屋台の玉こんにゃくとかおでんとか食べて体を温めたのち、16時過ぎごろに近くで待機していた。日が落ち始める時間帯なので、次第に寒くなっていくのがしんどかった。裸参りの待機者はもっと寒かっただろうが……

点火前
点火後

 てんこ盛りの紙や木の山に火をつけるので、点火した瞬間の燃え広がる様や、燃え広がった後の火の山は圧巻であった。時折、竹がはじけたと思われる破裂音がした。見た目も音も迫力がすごかった。

 クソデカい焚火なわけなので、少し離れた場所でも暖かさがとても伝わってきた。間近にいるとむしろ熱い。裸参りの人はこの火の周囲を、一般の人よりも近いところで一周するので、寒い中半裸でいたとしてもかなり熱かっただろう。むしろ半裸であるからこそ、肌に直接に熱が伝わってくるので、普通にしんどいかもしれない。もしかして裸参りって、寒さも熱さもどっちも味わせせる、究極の寒暖差修行だった……?

 

 境内に人がゴミのようにいて死ぬかと思った。帰りはシャトルバス待ちのクソほど長い列もあった。初詣と違って1日で行われる行事だし、どんと祭の中でも全国最大規模なので、まあそりゃそうか。

ゲーム「マルコと銀河竜」感想

 TOKYOTOONより発売されているノベルゲーム「マルコと銀河竜」をプレイした。プレイ時間は大体5~6時間。

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あらすじ

 銀河中の金銀財宝を求めて駆け回る、地球出身の盗人マルコと銀河竜のアルコが、マルコの母親を探しに地球にやってきて様々な出会いを果たす。概ねこのようなストーリーである。地球内外の敵や味方と戦う中で、母親やその愛、友達などという、ある種の宝の意義について見つめなおす的なアレである。

 

良かった点

  • ほぼ全てのシーンで専用のCGイラストが使われている

 ノベルゲームは通常、背景を固定して立ち絵を映し、立ち絵の差分によって物語を進めていく。CGイラストは特別な場面でしか用意されない。しかしこのゲームではほぼ全てがCGイラストで場面が描かれており、公式サイトによるとCG・スチルは1000枚級だそうだ。このゲームのキャラデは一人なので、そのイラストレーターが過労死してないことを祈る。

 とにかくCGイラストが多く、また6時間程度で終わる分量なので、これでもかというほどイラストが見れる。イラストの満足感は半端ない。

 このゲームが最大の売りにしているのが、このカートゥーンアニメによる演出である。5分程度のやつが8本ぐらいある。アニメを多用したノベルゲームという斬新さがこのゲームの最大の特徴であると言えるだろう。私もこの点に惹かれて購入したクチである。

 肝心のアニメの内容は、まあ正直言ってエセカートゥーンといったところである。雰囲気だけで楽しもう。TRIGGERみたいな感じのカートゥーンだと思ってもらえればいい。宇宙パトロールルル子とか。

 

良くなかった点

  • ストーリーの構成や展開が雑
  • ギャグが面白くない

 このゲームを評価する上では、この2点が最大のポイントになってしまっている。カートゥーンを取り入れているということで、全体的にコメディ調に仕上がっているのだが、その狙いが完全に明後日の方向に向かっている。

 本筋の内容、ちょっとしたキャラ同士の掛け合い、ギャグ展開などのそれぞれの展開の流れが、てんでバラバラに感じるのである。話が理解できないわけではないのだが、特に、ギャグの挟み込み方が変だなあというのを強烈に覚えた。ギャグの内容も的外れ感が強くて薄ら寒いし、的外れなノリを事あるごとに出してくるので、滅茶苦茶うんざりした。

 正直、このゲームは物語としては面白くなかったと思っている。唯一評価できるのは演出の斬新さぐらいのものである。まあ、おまけ程度のシリアスパートの話のテーマは普通に良かったかな。

 100歩譲ってギャグのノリ自体は良いとして、それをどのタイミングで入れるかの構成はもう少し練ってほしかったなあ。思いついた面白いことを手当たり次第やればいいってわけじゃないんだよ。

 

まとめ

 正直に言うと、ストーリーは面白くない。ギャグのノリが明後日に行ってるので、あまり期待しない方がいい。代わりに、豊富なCGイラストやアニメーションを内容を気にせず、目だけで楽しもう。Steamの定価では7,800円だが、目の保養に8,000円弱払うのもどうかと思うので、もし買うのであればセールの時にぜひ買おう。私も2023~2024年の年末年始セールで買ったし。

ゲーム「8番出口」レビュー・感想

 Steamで2023年の11月29日に配信されたゲーム「8番出口」をプレイした。プレイ時間は短めで、長くても2時間ぐらいで終わると思う。

store.steampowered.com

 内容は至ってシンプルで、無限に続く地下通路があり、そこの様子がいつも通りなら「進む」。少しでも様子が違えば「引き返す」。それを繰り返すことによって、プレイヤーは0番から8番までの通路を通って、最終的に地上に出ることができる。進退の選択を途中で間違えると、また0番からやりなおしになる。

 つまりこのゲームは、一言で言えば「間違い探しゲーム」である。

 ゲームの雰囲気としては、「The Backrooms」のようなリミナルスペース、すなわち簡素・単調であるが故の不気味さや、超現実的な感じである。実際に、このゲームの紹介文で、

「8番出口」は日本の地下通路や、リミナルスペース、バックルームなどにインスパイアされた短編ウォーキングシミュレーターです。

と書かれている。

 「The Backrooms」と比べて、エンティティみたな化け物はほぼいないが、ある程度の不気味さと、少し心臓に悪そうな演出がちょっとだけある。

 視点は一人称で、できる操作は「歩く」「走る」「視点移動」。以上である。めちゃくちゃシンプル。間違いがあるか、ないかをプレイヤーの進退だけで選択するゲームなので当たり前だが。

 私はほとんどFPSとかをやらないので、最初の数十分は画面酔いしたが、激しくグリグリと視点を動かす系のゲームではなかったので、すぐに慣れた。

エイペックスとかは多分一生慣れないと思う。チュートリアルの時点で吐き気が限界に来て無理だったので。

 

 間違い探しの難易度は、ほんのわずかの違いを見つける、というわけではない。誰の目で見ても明らかに違う間違いしか出てこない。ちゃんとその間違いに目を向けていないと気づけないものもあるが、いずれにしても意地悪な間違い探しは出てこない。

 私は、どうしても一つだけ気づけなかった間違いがあったのがめちゃくちゃ悔しかった。攻略サイト見てもなお、ちゃんとそこに注視してもなお、その間違いを見つけることは一度もなかった。ただ、「全ての異変を見た」という実績は解除されたので、私の知らないうちにその間違いが出てたという事だ。バカにされてるみたいで、やっぱりめちゃくちゃ悔しい……

 

 ゲーム実況者とかがこぞってプレイしてるらしいので、そこで間違い探しの全パターン見ちゃうとかも、まあいいんじゃないかな。大体1時間ぐらいで終わるゲームだから、実況者側としても視聴者側としても丁度よさそう。

 自分で間違い探ししたい!って人は是非自分でやってみよう。500円もかからずにプレイできるぞ。

映画「栗の森のものがたり」感想

 先日の12月1日は「映画の日」で、映画が1000円で観れる。私は毎年、面白そうな映画があれば観るようにしている。今年は「栗の森のものがたり」という映画を観た。

 2019年のスロベニア映画で、日本では2023年10月7日に公開された。

 舞台となるのは、1950年代のイタリアとユーゴスラビアの国境付近の小さな村。そこには豊かな栗の森があった。しかし、第二次世界大戦後の政情不安により、多くの人々は村を離れ、すっかり寂れた場所となっていた。

 栗の木で棺桶を作るのを生業としていた老大工“マリオ”、村から離れ夫の元へ行くことを夢見る栗売りの少女“マルタ”。ある時、マルタが川に栗を流してしまい、マリオがその回収を手伝ったことによって2人は出会う。2人はこれまでの境遇を語り合い、その中でマルタは村から離れる決心をする。出会いによって紡がれる2人の寓話は一体どのようなものなのか......

概ねこのようなストーリーである。

 

 マリオはこの先の人生は長くないことを悟っており、ある一つの心残りはあるが、とにかく陰鬱な雰囲気を醸し出している。一方で、マルタは夫の待つ地を夢見ており、希望に満ちた様子を纏っている。その「明と暗」の対比が、物悲しい調度品や時折挟まれる歌や踊りなどによって、明瞭に浮かび上がっている。

 作中の音楽ではしばしば、不協和音的だったり恐怖的な音楽が流れることがある。これは、2人のいる小さな村が不安定さ、寂しさの中にあり、彼らの生活そのものもまた、そうであるかのような印象づけがなされているように思われる。今の生活が崩れ去るかもしれない緊張感とはまた違う、曖昧な空虚さがこの映画全体に蔓延しているような感覚である。しかし、軽快な音楽が流れる場面もあり、それはこの物語での「明」の部分として、喜劇的な作品でもあることを印象づけている。特にこれはマルタに関わる場面でよく出てくるので、彼女が喜劇側にいることをよく理解させてくれる。

 作中の演出は、空虚の中にある人々の生活や思いを描くことに徹底しており、セリフが多くはない。一切喋らずに終わるシーンもあり、「このシーンの我々の中での意味はあるけど、それは言語化しないよ。勝手に想像していいからね」というのがひしひしと伝わってくる。そういう作品は、いい意味で勝手に、適当に解釈しながら観れるので、嫌いではない。難しく考えすぎながら観るのはあまり好きじゃないので(考察系のSF作品とかは別だが)。

 また、演出として、夢の中であったり回想だと思われるシーンがよく挿入される。現実の出来事の順序も時系列順ではなくかなりバラバラなので、ストーリーの理解にかなり苦しむところもあるが、それがむしろ作品全体に蔓延る曖昧さ、不安定さを浮き彫りにしている。

 海外特有の価値観、習慣によるものと思われる描写は、少し言葉を足して欲しかったかなとは思う。この映画の監督・脚本・編集を手がけたのは、スロベニア出身のグレゴル・ボジッチという方らしい。スロベニアやその周辺地域の死生観が関わっていると思われる展開があるのだが、説明がほとんどなく、全く分からなかった。まあ、その辺の価値観について既に知っている現地の人からすれば、詳しく説明してしまったら興醒めになるはずなので、セリフは必要最小限だったのだろう。日本人とか、価値観をよく知らない人にとっては言葉足らずだなあと感じるだけで、知りたきゃ調べろ、その情報は映画の中で語る必要はない、ということである。

 全体を通して、陰鬱で、しかしその中に一縷の光もあり、そして夢の中にいるような曖昧な構成となっているのが、この映画の特徴と言えよう。人によっては内容がよく分からずに寝てしまう場合もありそうだが、それは「夢の中のような曖昧な作品」という趣旨によく合致した結果とも言える。

 あまり深く考えずに、「寂しい田舎村で2人の空虚な人生があったんだなー」ぐらいの感覚で観るのがちょうどいい。この記事の冒頭にも、各種映画サイトのあらすじにも書かれているが、この物語はとある村で紡がれた小さな寓話、すなわちおとぎ話である。おとぎ話を難しく考えながら観る必要はない。

 暗い話を、なんとなくで観たい人は是非観てみよう。