A boiled egg

ぼちぼちいこか

ゲーム「まいてつ」 感想

Loseより2016年に発売されたアダルトゲーム「まいてつ」をプレイした。続編にあたる「Last Run!!」は今回プレイしていない。

 

・あらすじ

舞台は、御一夜という場所。この世界の日本では鉄道は衰退し、代わりに「エアクラ」と呼ばれる乗り物が移動手段の主要となっている。そのような時勢の中、御一夜にもエアクラ工場建設の誘致計画が立つ。主人公らは、工場建設によるデメリットを強く感じ、誘致反対の旗印として鉄道の復権を図る。といったストーリーである。

蒸気機関車8620を制御する専用レイルロオドであるハチロクは、大廃線に伴って長い眠りについていた。
ほんの偶然から彼女を目覚めさせた、鉄道事故被害者である青年・右田双鉄は、ハチロク、義妹で絵描きの日々姫、市長で社長のポーレットらと、
それぞれの目的のため、行方不明になっている8620の捜索を開始する。

(公式サイトの共通ルートあらすじより)

実際の地名としては、熊本県人吉市が元ネタに当たる。人吉市とのコラボで色々と企画もやったことがあるようだ。

 

・全体的な感想

 良かった点

それぞれのキャラが、鉄道や御一夜という場所に対してそれぞれの想いを抱いており、そのために生まれる葛藤や対立、その先にある進歩に向かっていく、というのがどのルートでも終始一貫して行われている。「叶えたい夢・乗り越えたい過去がある人々の物語」であり、それが鉄道を軸として回っている。挫折とそこからの復活、夢への邁進の物語、良いですねぇ~

「鉄道」をテーマにした作品であり、私は鉄道は全くの素人なので、様々な専門的な事物に興味深さを感じながらプレイすることができた。専門的と言っても、ガチの鉄オタにしてみれば大したものではないかもしれないが、その雰囲気自体は十二分にある。

例えば蒸気機関の仕組みなんかはボイラーのものと似通っているのだが、2級ボイラー技士の勉強をしたことがある私にとって、「ボイラーのあの機構が蒸気機関車ではそうのように使われているのか」と、鉄道に対して身近さを感じたものである。

ボイラー技士云々の話がなくとも、知ってる用語・知らない用語がバランスよく、かつほどほどに出てくるので、ストレスなく気楽に鉄道の知識を得られるのは良い点である。

ゲームシステム的な話。

このゲームはエロゲであるのだが、Hシーンは本編には入ってこない。物語の節目でHシーンが追加され、メニューから場面鑑賞で見ることができる。

このシステム、非常に素晴らしいと思う。エロゲのエロを重要視する人にとっても、しない人にとっても、エロに邪魔されずにストーリーに集中することができる。人によっては、エロは箸休め的な役割を果たしてて重要だ、という意見もあるかもしれないが、シナリオゲーではエロの箸休めは絶対にいらないんじゃないかな……

まいてつには全年齢版もあるので、1ミリもエロがいらない人は、そっちやれば良いと思う。私みたいに、エロは見たいけど本編中にはいらないって人にとってはベストなシステムであるってだけなので。

 

 あんまり良くなかった点

このゲームの性的な倫理観は時々狂っている。エロゲだから多少狂っている方が、エロに持っていきやすくていいのかもしれないが、それにしても狂っているなあと思う所が多少ある。

一番は、レイルロオドの「シーリング」が解放されるというものである。端的に言えば、レイルロオドが男性に恋をするとセックスできるよ!って感じのシステムなのだが、いやそれいる? 作中で明言はされていないが、「シーリング」とはすなわち「処女膜」のことだと思う。わざわざその設定作る必要あったか?そんなものなくても、なんやかんやでセックスしてくれれば、それで良かったんだがなあ。

本当にすまないが、処女厨の考えた気持ち悪い設定としか思えない。私も童貞であるのであまり人のことは言えないが、まあ処女や処女膜へのこだわりはそこまでじゃないよ……

 

あとは、「凪&ふかみルート」とかいう一夫多妻ルートがあるのもなんだかなあと。世のエロゲにはハーレムルートがあるゲームなんて、ごまんとあるだろうから今に始まったことではないのだが、それでも恋愛観が違くて好かんなあと私は思う。まあ、このルートの恋愛観は他のルートとは少し異なるのは事実であるのだが、それにしても受け入れがたかった。

ふかみがかなり好きなので、その分ダメージも大きかった。でもやっぱりふかみはめっちゃ可愛いのは揺らがない。

グランドエンドも似たような方向性なのだが、まああれは良いかな。そうなるしかないよなって感じで、納得はできる流れだったので。

 

・終わりに

「まいてつ」というゲームは、鉄道を中心として物語が展開していき、またそれを軸としてキャラ同士の繋がりとその発展も見ることができるという点で、一つの物事に突き動かされていく人々を眺めていく物語である。

エロの倫理観とかは多少言いたいこともあるが、それを差し置いても本編の内容はすばらしく、また心温まる物語になっている。

続編にあたる「Last Run!!」もいつかやろうと思っているのだが、評価は二分しているらしい。また、それに関してエロゲ―批評空間の方で色々と問題があったらしい。それが原因かは分からないが、このゲームを手掛けたLoseは解散している。

うーん、どうすっかな……