今回はR-18の百合ゲーをプレイした。
寮の同じ部屋で生活している3人の女子高生のうち2人が付き合うまでの話となっている。この作品は初出時は本編の「きみはね」とその続編の「きみから」となっていて、前者が大体12月ごろ、後者が大体2月ごろを舞台としている。私がプレイしたのは、この2つがセットになったものである。
※ネタバレ注意
この作品で印象に残ったのは、天使が見ている世界、及びその天使の役割についてである。
天使の見ている世界には色は無く、しかし赤とか緑とかいった色がどのようなもの(恐らく波長とかの物理的性質であろう)であるのかは完全に理解しているらしい。しかし感覚としては知らないため、人間になった時の色の感覚は新鮮なものであるということも、作中で強く描写されていたことである。
丁度、今私が大学の講義で知覚論の入門的なものを履修しているので、この話は非常に興味深い内容であった。その講義に出てくるキーワードの一つに「科学的知覚図式」というものがあるのだが、簡単に説明すると、「色や音、臭い等の感覚は全て人間の脳や神経によって発生しているので、色や音や臭い等は人間の外の世界には全く存在せず、外界にあるのは、それら感覚を引き起こす物理的性質(原子の運動状態だとか波の動き等)を持った物質のみである」といったものである。ちなみに、色や音が外界にも確かに存在すると主張する考えは「質的知覚論」とか呼ばれているらしい。
兎に角、本作の天使は「科学的知覚図式」の考えをもとにしていると感じたわけである。私としては、完全にその立場を取っている、あるいは取れているとは思えないが、その辺りは割愛させていただく。
また、天使は世界の分岐を確定させる「観察者」としての役割を担っているともあった。観察者と言っても世界に干渉することはできず、世界を確定させるために、その外部のものが観察する必要があるので、その観察「のみ」を行うのが天使、ということであろう。2重スリットだとかシュレーディンガーの猫とかいったワードも出てきたので、世界の状態の重ね合わせを意識していることは明らかだろう。まあでもシュレーディンガーの猫って、量子力学を否定するためにシュレーディンガーが提示した思考実験らしいけど。あと、天使の役割を我々プレイヤーにも最後に位置付けしたのは、メタゲー好きな私にとっては少し嬉しい要素であった。
最後に
個人的に一番好きなカップリングは倫×陽菜。あの主従関係たまらんしたまに下僕側から反撃してくるシチュエーションも好き。
聖夜子と祥子のカップリングで一つ言いたいのは、確かに全体の流れからしてみれば一番妥当なハッピーエンドだと思うのだが、私としてはくっつかない方が好みだなあと思った。インプリンティングの話もしてたんだし、祥子は死ぬまでのえるに焦がれたまま誰ともくっつかないでいてほしかった。そして聖夜子も死ぬまで祥子に焦がれ地上に誘った天使の告白に応えず以下無限ループ。
本気出せば一日もかからず終わるので、興味があればぜひプレイしてほしい。