A boiled egg

ぼちぼちいこか

神様の定食屋 感想

 「神様の定食屋」という小説を読んだ。全2巻。

 

 

 主人公は定食屋の店員の一人なのだが、料理が全然できないし客への気配りの仕方もできない人物なのである。そんなやつがどうして定食屋で働いているのかと思ったであろうが、ちゃんと理由はある。

 

あらすじ

 元々この定食屋は両親及び主人公の妹で切り盛りしていて、主人公は所謂社畜であった。あるとき、両親が不幸な事故に遭って他界してしまったため、店や妹が心配になった主人公は休職して定食屋の店員となったのである。

 しかし料理の作り方もさることながら、客への気配りの仕方も知らなかったので、事あるごとに失敗して妹に𠮟られる。どうにかして料理のコツなどを知りたいと悩んでいた主人公は、藁にも縋る気持ちで近所の神社にお祈りをしに行く。すると、突然神様が現れて、「願いを叶えてやろう」と言われる。

 その願いの叶え方の手段が、既に亡くなった魂と一時的に融合するというものなのである。簡単に言えば取り憑かれるのだが、元々の意識もはっきりと残るので、二重人格で両方の意識が同時に存在しているようなものであろうか。

 とにもかくにも魂に一時的に憑依させられるのだが、その魂には成仏する前に飯を食わせてやりたい相手がいる。それは自分の子どもだったり友人だったりと色々いるのだが、魂は主人公の体を借りて料理を作り、振舞いたい相手に振舞う。そして主人公は調理の様子を観察しながら、時に料理を振る舞われた相手と会話をしながら、料理のコツや気配りについて学んでいくのである。

 

 

感想

 人の死、及び死んだその人の遺志がどうであったか、さらには遺された者がその遺志をどう受け継いでいくのか、みたいな感じの物語なのだが、正直滅茶苦茶泣いた。元々そういう感じの物語には弱いというのもある。

 魂には若者から老人まで色々いて、生を全うして達観した人もいれば、死を理解してはいるものの微妙に納得してない人もいる。そして、料理を振る舞われる人、つまりは生前関わりがあった人の思いというのももちろん語られていて、二人はもう一緒に生き続けることはできないんだという切なさで、ぶっちゃけ脱水症状になるぐらい泣いた。さらには、魂の遺志と、それを生者がどう受け止めこれからを生きていくのかの尊さで、最終的に涙が出尽くして干からびた。オムニバス形式なので、ほぼ毎話干からびてた。

 タイトルに「定食屋」とあるぐらいなので、料理の描写ももちろん重要な部分で、美味そうな表現がいっぱいあった。個人的には特に揚げ物や肉料理あたりの描写でよだれが止まらなかった。そこまで料理はしないので、調理時の表現は適当に流し読みしてたのだが、知識少ししかなくても十分香りが漂ってきそうなぐらいには良かったと思う。

 

 

 この記事の最初に「小説」って書いたが、多分ラノベに含まれると思う。さっき調べて気づいたのだが、これ元はなろうなんだね。挿絵は一切ないが、言葉選びが軽い感じなので、やっぱベクトル的にはラノベって言っていいと思う。

 

 おわり。深夜眠れなくて暇で、ふと読了したの思い出して、急に思い立って書いた記事なので適当さは悪しからず。